17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/25(金) 21:20:03.28 ID:6I5S2gV60
「篝獅子、呼ばれる怪異――いや、どちらかと言えば神様かな。
本来は神を借りると書いてかみかり、神借獅子。
だからあれは正確に言えば猫耳じゃなくて獅子耳」
そういうものか……まあ、ライオンもネコ科だしな。
どちらにせよ可愛いからいいけど。
でも獅子耳って。語呂悪いよ。
「かがり……じし?」
「今回ばかりは怪異を引き寄せる――トラブルメーカーな鬼のお兄ちゃんのせいじゃないよ。
篝獅子が水瀬のお姉ちゃんに取り憑いたのは鬼のお兄ちゃんに会うよりもっと昔。
もっと言えば産まれるよりもずっと前」
「母体に取り憑くタイプの怪異……」
「うん、でも発動条件が厳しくてほとんどは取り憑かれた事さえ気付かずに一生を終えるらしいけどね」
その代わり発動した時はすごいらしいよ、と斧乃木ちゃん。
月火ちゃんのしでの鳥のような怪異なのだろうか。
実害は無いに等しいけれど、代わりに恒久的に常時発動し続ける、みたいな――。
「篝獅子に取り憑かれる条件は、兄もしくは姉がいること、その兄弟が優秀であること、家柄がその時代では裕福な方であること」
水瀬は確か二人の兄がいた筈だ。
それも二人とも飛び抜けて非常に優秀だとか。
「ライオンは群れで行動する生き物だけど、篝獅子は群れを作らず、たった一匹で百獣の王の地位を得たライオンの怪異だ。
篝獅子に取り憑かれた人間は産まれた瞬間に能力を極端に抑制され、コンプレックスに苛まれる。
いるでしょ、優秀な人間だらけの名家の中で一人だけ落ちこぼれる人間。
あんな感じで、故事成語のように『谷に突き落とされる』のさ」
産まれたその瞬間から取り憑く怪異。
しかも、その影響の内容は人間としての能力を削ぎ落とされる。
それだけでも人ひとりの人生を台無しにするには十分とも言える。
人間はいくら綺麗事を言おうと弱者には冷たいのだから。
「そう、水瀬のお姉ちゃんは獅子に見棄てられたんだよ」
「…………」
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