過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」 2
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3: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2014/05/01(木) 03:03:38.99 ID:wiguRyO8o



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少しして、上条は学園都市上空を飛んでいた。
夜の街は上空から眺めると、様々な光が宝石のように輝き、そこに空から舞い落ちる雪の結晶も加わって、とても美しいものだ。
ただし、今はそんな悠長に感動していられない。

いくら学園都市といえども、流石に急展開過ぎるような気もするが、すぐ隣の男を見れば全て納得してしまう。
こと応用力に関しては、第二位の能力は第一位をも凌ぐ可能性すらある。

「あんま右手振り回したりすんなよ!」

「分かってる!」

飛んでいるというだけあって風の音が凄く、近くにいても大声で叫び合うような形になる。
現在、上条は垣根に引っ掴まれて空を飛んでいるわけだが、もしも右手で翼を壊すような事があれば真っ逆さまだ。
垣根自身は助かるのだろうが、あいにく上条はこの高さから地面に叩きつけられて無事で済む耐久性はもっていない。

「にしても、すげえ情報力だな食蜂の奴は! 俺にまで自力で接触してくるんだからよ!」

「やっぱ操祈から聞いて来たのか! ありがとな!」

「……何でだろうな」

「え、なんだって!?」

急に垣根の声が小さくなり、上条には聞こえづらくなる。
そして、その表情を見て、どうやら誰かに伝えるつもりもなく、ただの独り言のようなものらしいという事が分かった。

これだけ高く飛んでも、まだ頭上には雪空がある。
それを見上げて、物憂げな彼の表情には、不思議と儚さのようなものを感じられた。
その本質は、正反対に近いというのに。

「こうしてお前を助ける理由を、俺はちゃんと説明する事はできねえ。
 前に迷惑かけた借りを返そうとしてんのかもしれねえし、イイ事してる自分に酔ってるだけなのかもしんねえ。
 一方通行の奴に差を付けたいってのもあるかもしんねえし、それこそ、ただ雰囲気に流されてるだけで、本当は何も考えてないとか、な」

「垣根?」

「でもよ、どんな理由があろうとも、とりあえずお前を手伝いたいって思った事は確かだ。とにかく、今はそれでいいと思ったんだ」

「悪い、何言ってんのか全然聞こえねえよ!」

「お前はこまけえ事気にしねえで、あのシスターに思いっきり告ってこいって言ったんだよ!」

「わ、分かってる!」

上条の返事に、垣根は満足気に笑う。
先程までの表情は、もう消えていた。

「にしてもすげえ奴だなお前も! たかだか一人の女に告るために、何人パシらせてんだよ!」

「パシらせ……い、いや、俺はそんなつもりじゃ……!」

「はっ、分かってるよ! それだけ人望があるって事だろ!
 流石、本物のヒーロー様は人気者で羨ましいな! 昨日の敵は今日の友ってのを素でやっちまってるしよ!」

「……なんか羨ましいってのが嫌味じゃなくて本音に聞こえたけど」

「う、うっせえな!」

上条はそれ程大きくない声で言ったのだが、垣根にはバッチリ聞こえていたらしい。



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