過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」 2
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4: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2014/05/01(木) 03:04:26.89 ID:wiguRyO8o

「とにかく、お前は何が何でもあのシスターをものにすんのと、俺が一方通行より役に立ったって事だけ分かってればいい!」

「対抗心燃やしすぎだろ……いや、でも一方通行も俺にかかってた魔術を解いてくれたしな! あれがなかったら、そもそもインデックスを追う事ができなかった!」

「はぁ!? よし、なら俺がこのまま空港までひとっ飛びで行ってやる! それでとりあえずはイーブンだろ!?」

垣根のその様子は、どこか兄に対向する小さな弟のようにも見えて、上条は小さく苦笑する。
そして、その言葉に答える為に口を開いたところで。

静かな、それでいてよく通る声が聞こえてきた。


「悪いが、それはつまらない。興を削がれるよ」


ガッ! と鋭い音が近くで響いた。

視界がブレた。いや、回転している。
加えて、体の内臓全てを持ち上げられるような、感覚。

そのまま、どれだけ時間が経過しただろうか。
おそらく数秒の事なのだろうが、上条にはもっと長く感じられた。
終わりは、分かりやすかった。

ドガァァァ!!! という轟音と、凄まじい衝撃。

まるで巨体のタックルをくらったように、体全体がギシギシと軋む。
それでも、致命的なダメージは受けていないようで、何とか立ち上がる事はできた。

「なに……が……」

ふらつく膝に手を当てながら、まだぼやけている視界を目を細める事で何とか認識しようとする。

先程まで眼下にあった宝石のような光は、周りを取り囲んでいた。
両足で踏みしめるは、硬いコンクリート。ちょうど上条がいる辺りが砕けている。

ようやく状況が飲み込めてくる。
どうやら、上条はあの高さから地面へと墜落したらしい。
どこか大きな道路の真ん中に落ちたようだが、もしもアンチスキルの交通整理がなかったら大騒ぎになっていたかもしれない。

「……なんで俺、生きてるんだ」

「そりゃ俺が衝撃を逃してやったからに決まってんだろ」

近くから声が聞こえてきた。
すぐにそちらに顔を向けると、そこには垣根が片膝をついて忌々しげに前方を睨みつけていた。

自然と、上条の視線もそちらへ移る。

「なんだ……アイツ」

誰、とは表現しなかった。
それは一応は人の形を模してはいたが、とても自分達と同じ人間だとは思えなかったからだ。

雪降る闇夜によく映える金色の長い髪。
スラリとした長身は女性的には見える。
見た目だけで言えば、人間扱いしないのは失礼極まりないだろう。

だが、上手くは説明できないが、違うと断言できる。
存在感……と言えばいいのだろうか。明らかに人間のそれとは異質なものを放っている。

そして、表情。
全ての感情が合わさったかのような、極めてフラットなそれは、とても人間が真似できるようなものではない。

似たような感覚を以前に抱いた事がある。
そう、あれは。

「その顔を見るに、私がどういった存在であるかという事は漠然と想像できているのかな」

「……天使、なのか?」

「間違ってはいない。だが、聖書に書かれているようなものとは別物だ。……まぁ、この場でそれは問題にする事ではないが」

「分かってるじゃねえか」

答えたのは垣根だった。
真っ直ぐ天使を睨みつけ、一歩足を踏み出す。



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