過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」 2
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◆ES7MYZVXRs
[saga]
2014/05/01(木) 03:06:00.49 ID:wiguRyO8o
***
上条は走りながらケータイを操作し、GPSでとにかく現在位置だけでも把握しようとする。
垣根に掴まれての飛行時間はそれ程長くはなかったが、それでも距離的には第二十三学区に近付いているはずだ。
道に積もってきた雪に度々足を取られながら、ブレる視界に苦戦しながらキーを打っていると。
画面全体に土御門元春の名前が表示された。
「もしもし、土御門?」
『おー、カミやん。まったく、こういう厄介事なら真っ先に俺と連絡をとってほしいですたい』
「お前はいつも厄介事をぶっ込んでくる側だろ」
『ありゃ、そうだったっけ? まぁいいや、とにかくカミやん、今から送る場所の駅に行ってくれ。距離はそこまでないにゃー』
「駅? いや、けどこの時間じゃもうどこも動いてないんじゃねえか?」
『ふっふっふ、俺を誰だと思ってるんだにゃー。ごほっ……その辺りはどうにでもなるぜい』
「なぁ土御門、お前なんか調子悪そう…………」
そこまで言って、上条は気付いた。
ふらつきながら部屋から出て行った一方通行の姿が脳裏に浮かんでくる。
「……お前まさか、何かに魔術使ったんじゃねえのか」
『おぉ、大正解。どうしたカミやん、いつになく冴えてるにゃー』
「魔術を使った能力者を見たばっかだったからな。それより大丈夫か?」
『大丈夫、大丈夫。それより、俺のこの頑張りを無駄にしないためにも急いでくれ』
「……分かった。サンキューな」
『礼はインデックスに会ってから、だろ?』
通話はそこで終わる。
感謝の言葉を軽く受け流してしまう辺り、あの男らしい。
それからすぐに、GPSの位置情報が載ったメールが送られてくる。
上条はそれで駅の位置を確認すると、ケータイをジャケットのポケットにしまって走ることに集中する。
いくら言葉にしてもしきれない感謝の気持ちを力にして、全力で走る。
土御門の言葉通り、その駅は近くにあり、程なくして到着した。
人気はない。
それでも、明かりはちゃんと点いていて、ガランとした空気が漂っている。
いつもは賑わっている駅から、突然人だけがいなくなる。それは人払いの魔術を思い出す光景だった。
とは言っても、そもそもこの時間は本来なら電車は動いていないので、人が居ないのはおかしい事ではない。
それなら、土御門は何に魔術を使ったのだろうか。色々考えられる事が多くて、絞る事は難しそうだ。
『カミやん、今から言うホームまで行ってくれ』
突然聞こえてくる放送。
それは土御門の声だとすぐ分かり、上条は一度だけ頷くと走りだした。
改札はどうしようか迷ったが、余計な記録が残るのは面倒だという事なので、ひとっ飛びにした。
指定されたホームに着くと、そこには十両編成の電車が停まっていた。
上条はその一番前の車両に乗る。気持ちが前に急いている現れかもしれない。
車両内にも、人の姿はなかった。完全貸切状態だ。
あまり経験する事のない状況に、上条は新鮮味を覚える。
ここまでガランとしていると、自分の立ち位置にさえ戸惑った。
座席に座る、という選択肢はなぜか浮かんでこない。
とりあえず上条は、入ってきたドアのすぐ近くの壁に寄りかかった。
ドアは開きっぱなしで、冷たい風に流されて雪もわずかに入り込んでくる。
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