過去ログ - 【モバマス】「きみがいたから」【結城晴】
1- 20
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:12:34.73 ID:3dnvgWSh0
 ……なあ、雪美。

 オレたち、もう一年、早く出会えてたら良かったって、そう思わねぇか?

 そしたら、お前が苦しんでた時、いくらでも助けになってやれたのにさ。

 まあ、今さら、そんなこと言ったって仕方ねぇんだけど……。

 だからさ。

 残された時間で、オレはこいつに何をしてやれるかなって。

 最近、そんなことばかり、考えてたよ。

「お前さ、友だち、つくれよ」

 雪美の顔から、表情が消えて。

 ゆっくり、静かに、首を横に振った。

「……友だち……もう……いる……」

「学校で、オレ以外にだよ。いねぇだろ?」

「……晴が……いれば……それでいい……から」

 すがるような目をして、オレを見てきた。

「オレはさ、春には学校を卒業するんだ。分かるだろ?」

 ぶんぶんって首を横に振られる。

 こういう時の雪美は、ほんとう、頑固だ。

「オレもさ、友だちづくり、頑張ってみるよ。雪美ひとりにだけ、頑張らせはしねぇからさ。偉そうなこと言って、オレもクラスでまともに話せるやつなんていねぇんだ」

 それでも、雪美は首を振って。

 涙に濡れた目が、オレを見上げたよ。

「……そんなこと……しなくて……いい。……私……悪い子でも……分からずやでも……いい……。だから……晴……どこにも……行かないで……」

 胸がすげぇ痛くて、唇を思いっきり噛んじまった。

 けど、かつて雪美が感じた胸の痛みは、こんなもんじゃ、なかっただろうな。

 オレが何も言えずにいると、雪美の瞳から、ひときわ大粒の涙がこぼれ落ちて。

 耐えられなくなったみたいに、走って、オレの前から去っていった。

 これで良かったんだっていう思いと、なにかを決定的に間違えたっていう思いとが、頭の中で混ぜこぜのぐちゃぐちゃになる。

「泣かせちまった……」

 雪美が置き去りにしたボールを見つめたまま、オレは一歩だって動けない。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
36Res/54.65 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice