過去ログ - 【モバマス】「きみがいたから」【結城晴】
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2014/05/03(土) 21:00:33.83 ID:3dnvgWSh0
きゅうじゅうなな、きゅーじゅーはちっ、きゅーじゅーきゅうっ、
「ひゃーくっ!」
ふっと鋭く息を吐き、オレはひときわ強く、真上にサッカーボールを蹴り上げる。
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2014/05/03(土) 21:01:14.21 ID:3dnvgWSh0
にじゅうさん、にじゅうし、にじゅうご、と頭の中で口ずさむ。
試合待ちの暇つぶしに始めたリフティングだったけど、なかなかどうして、奥深い。
クラスの子たちを置き去りに、リフティングしながら、グラウンドの隅を歩いていく。
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2014/05/03(土) 21:01:57.44 ID:3dnvgWSh0
強めにボールを上げて、くるりとターン。
落ちてきたボールを……よし、膝で蹴るのが間に合った!
それをさらに足の甲で弾いて、もういっちょ!
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2014/05/03(土) 21:02:56.16 ID:3dnvgWSh0
放課後、校門から離れた花壇のところで、佐城の姿を見かけた。
土の上にハンカチを敷いて、そこにひとり、ちょこんと腰かけてる。
膝の上に、たぶん野良の、白猫。
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2014/05/03(土) 21:03:51.00 ID:3dnvgWSh0
「アイドルぅ?」
変な声が出たよ。
「そう……。だけど……お仕事……ずっと……お休みしてた」
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2014/05/03(土) 21:05:24.99 ID:3dnvgWSh0
「オレが悪かったよ。無理して答えなくて、いいからさ」
佐城は、制服の袖で目元を拭うと、弱々しく首を横に振る。
「……辛かった。……ずっと……ずっと……。いつも……いつも……」
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2014/05/03(土) 21:06:05.66 ID:3dnvgWSh0
「今の話さ、学校のやつらは知ってんのか?」
「話すの……これが……はじめて」
涙に濡れた目が、こっちを向いた。
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2014/05/03(土) 21:06:40.48 ID:3dnvgWSh0
昼休み、手提げカバンを持って、そそくさと教室を後にする。
渡り廊下を越えて、細長い校舎の、いちばん奥の部屋。
そうっと扉を開けると、本独特の匂いが鼻を刺激した。
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2014/05/03(土) 21:07:21.43 ID:3dnvgWSh0
しばらくして、本を手に戻ってきたかと思うと、ひとつ向こう側のテーブルに座る。
佐城はすぐに、読書に集中し始めたけど、オレは気が散って仕方ねぇよ。
雑誌は隠しちまったし、退屈ったらありゃしねぇ。
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2014/05/03(土) 21:07:54.39 ID:3dnvgWSh0
「結城さん、これから時間ある?」
放課後、荷物をまとめてたら、後ろから声をかけられた。
同じクラスの……名前が出てこねぇ。
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