80: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/05/25(日) 16:57:28.13 ID:d+YVnMr1o
#6#
#――死神の時間で約11億年前。人間の時間で約35年前。
黄泉の国換算で同年に2人の者が三途の河に転がり込むのは珍しい。
「人間道の1秒=黄泉の国の1年」という換算式を適用すれば……。
偶然、1秒以内に2人死んだことを意味する。
中学生「ねえ! もっと早く漕いでくださいよ!」
死神「うるさい子だねぇ……川から落としちゃうよ」
中学生「できないんでしょ? 私を運ぶのが貴方の仕事。なら落としたら始末書モノだね♪」
死神「……お前さんのことは、あの小学生から聞いている」
中学生「あー……もうサイアク。あいつ1人だけ死ぬ予定だったのに」
死神「どういうことだい?」
中学生「あのメスガキ、私に黙ってコンドームに穴開けたのよ」
死神「……」
中学生「信じらんないでしょ!? いくら○×様とはいえ、勝手に妊娠されたら困るに決まってんじゃん!」
良くいるのだ。
口を開けば妄言だらけ、自己保身の塊のような者。
彼らは大抵、死神だろうとお構いなしに「自分可愛い」の言葉を連発する。
大抵アタイは黙ってそれを聞く。
悪人同士の生存闘争に巻き込まれて死んだ小学生のことを考える。かわいそうに。
アタイは閻魔様の説教を思い出した。
「深遠なる黒に、白く高貴なものは打ち勝つことができません。
なぜなら白とは『純粋』であり、黒の影響を一番色濃く受けてしまうからです。
世界は常に、黒へと歩んでいます。黒が白を飲み込み、黒同士で潰し合う世界です」
閻魔様の言葉に、私はこう疑問を呈したことがある。
「どこまでも黒く染まっていく世界で、なぜ新たな白が生じるのですか」
すると閻魔様は微笑んで、自信たっぷりにこう言った。
「それこそ人間の可能性です。私は、人間のそういうところが大好きなんですよ」
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