過去ログ - 阿良々木暦「ゆきほエンジェル」
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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/09(金) 20:37:29.51 ID:OHJpcaUT0


004


翌日、僕は決していいとは言えない気分で事務所の扉を開けた。まだ誰も出勤していないようだ。

自席で全身の力を抜いて中空を見上げる。
こんな時、煙草でも吸えれば気分も晴れるのだろうか、と不毛な想像をする。

昨日、千石の言葉を否定出来なかったのには、大きく二つの理由があった。
ひとつは、先日から萩原に感じている違和感だ。
これに関しては僕の気のせいで終わる可能性も高い。
ただでさえデリケートなアイドル、その上触るだけで壊れてしまいそうなイメージの萩原だ。
少し疲れているだけ、という説の方がよっぽど現実的だ。

そしてもう一つ。

「怪異……か」

もう、口にするのも嫌気が差す程繰り返してきたその言葉を噛み締める前に、

「プロデューサー……」

「うおぁっ!?」

「きゃあ!?」

萩原に急に背後から声を掛けられ、椅子ごとひっくり返った。
辛うじて受け身を取ったものの、頭部への損傷を免れただけで背中を強かに打つ。

「いててて……び、びっくりした……」

「ちゃ、ちゃんとおはようございます、って言いましたよ!?」

それは悪かった。考え事をするあまり気付かなかったようだ。



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