過去ログ - ウートガルザロキ「フィアンマちゃんは、俺の」
1- 20
21: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/05/13(火) 21:46:26.25 ID:7uhLKSG60

ボロボロだ。
身体は疲弊しきって、どうにもならない。
油断している場合ではなかった。
どうにか『廃書』にしたものを灰にして、ふらふらと本に近寄る。
治癒術式について多く綴られた本だった。

『天使の力の源泉を…イメージする……』

文章を視線で追って、手を伸ばす。
届かない。ふらふらする。
眠って体力を回復してから考えた方が良いのかもしれない。

『……ウート…』

窓に近寄る。
六年間、ほぼ毎日会いにきてくれた少年のこと。
彼を幽霊だと勘違いしていた己が、今となっては恥ずかしい。

『……!』
『     !』

窓越しに、彼が見えた。
あちらからも自分が見えるのは、焦っているようだった。
血まみれでボロボロの自分は、さぞ哀れに見えただろう。

『大丈夫、だ』

ウートが、きてくれたから。
血で汚れた手で、窓に触れる。
泣きそうな顔をして、彼の手も窓に触れた。

手が、触れたらよかったのに。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
280Res/201.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice