過去ログ - ウートガルザロキ「フィアンマちゃんは、俺の」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2014/05/13(火) 21:46:26.25 ID:7uhLKSG60
ボロボロだ。
身体は疲弊しきって、どうにもならない。
油断している場合ではなかった。
どうにか『廃書』にしたものを灰にして、ふらふらと本に近寄る。
治癒術式について多く綴られた本だった。
『天使の力の源泉を…イメージする……』
文章を視線で追って、手を伸ばす。
届かない。ふらふらする。
眠って体力を回復してから考えた方が良いのかもしれない。
『……ウート…』
窓に近寄る。
六年間、ほぼ毎日会いにきてくれた少年のこと。
彼を幽霊だと勘違いしていた己が、今となっては恥ずかしい。
『……!』
『 !』
窓越しに、彼が見えた。
あちらからも自分が見えるのは、焦っているようだった。
血まみれでボロボロの自分は、さぞ哀れに見えただろう。
『大丈夫、だ』
ウートが、きてくれたから。
血で汚れた手で、窓に触れる。
泣きそうな顔をして、彼の手も窓に触れた。
手が、触れたらよかったのに。
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