過去ログ - ミリマスSS「私の描きたい世界」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:22:18.98 ID:R8kowSVNo
ミリオンライブのSSです。
作者の妄想で構成されています。公式設定ではありませんので注意してください。
拙い文章ですが、よろしくお願いします。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:23:08.85 ID:QQ1sYqzSO
期待
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:24:14.94 ID:R8kowSVNo
早朝の公園は静かです。世界から私一人が取り残されたような感覚、私以外が存在しない世界。
……目の前を鳩が通り過ぎます。うん。鳩ぐらいなら、私だけの世界に入ることを許可しましょう。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:25:58.30 ID:R8kowSVNo
まったく自由でのんきなものです。その姿に呆れますが、羨ましくも思います。
「……私も鳩になりたかったなぁ」
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:27:19.31 ID:R8kowSVNo
「おっと、警戒させてしまったかな。気分転換に散歩でもしようと歩いてたら君の独り言が聞こえてきてね。つい反応してしまった」
……たぶん大丈夫でしょう。何となくだけど悪い人には思えません。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:31:13.83 ID:R8kowSVNo
……こんな早朝に一人絵を描いていたらそう見えますかね。もちろん嫌いではない、でも最近は好きという気持ちが薄れています。
「そんなところですね。私の絵、見ますか?」
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:32:10.09 ID:R8kowSVNo
「だが……おっと! いかんいかん、もうこんな時間だ。それでは、私は失礼するよ。付き合ってくれてありがとう」
そう言うと出口の方へと向かって行ってしまいました。いつの間にか現れてあっという間にいなくなる。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:33:27.07 ID:R8kowSVNo
三日ぐらい経って、私が公園に向かうとベンチに座るおじさんを見つけました。
おじさんは私を見つけると手を振ってきました。随分と馴れ馴れしい人ですね。まぁ、悪い気はしません。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:36:21.75 ID:R8kowSVNo
それからしばらく穏やかな時間が続きました。私は絵を描いて、おじさんはお世辞にも上手とは言えない鼻歌を歌う。
その間何も会話はありませんでしたが、決して嫌な空気ではありません。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:37:23.75 ID:R8kowSVNo
私も家に帰って、さっき聞いた曲名を調べました。どうやら昔のアイドルソングらしいけど、情報が少なくてそれ以外はわかりませんでした。
それからも、公園でおじさんと会うことが何度かありました。私は学校の課題だったり、絵を描いたり。おじさんも仕事をしてたり、何もしなかったり。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:42:00.28 ID:R8kowSVNo
またおじさんに会うことになるのは一年近く先のことで、私は高校生となっていました。
高校生となっても私の世界が変化することはありません。ただ周りに合わせて、つまらない絵を描く日々。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:42:57.17 ID:R8kowSVNo
「そこの自販機で買ってきたんだ。君もどうかね?」
おじさんは左手に持っていた缶ジュースを渡してきました。思わず受け取ってしまう。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:43:51.58 ID:R8kowSVNo
「そうなんですか? えっと、おめでとうございます」
「ありがとう。君はどうだね? その制服は確か○×高校のものだったかい?」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:45:34.34 ID:R8kowSVNo
「……どうだい。私にちょっと聞かせてくれないかな。もしかしたらアドバイスできることがあるかもしれない」
おじさんとはそれなりの時間を過ごしてきました。でも、私たちはあくまで他人のはずです。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:48:38.98 ID:R8kowSVNo
「君はおそらく夢を見失っているんじゃないかな? 進むべき道、ぼんやりとしているが辿り着きたい場所。それが何かに阻まれ見えなくなっている」
私の夢……私の叶えたい夢……。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:50:43.90 ID:R8kowSVNo
「私のお父さんが芸術家で、色んな作品を生み出しました。そんなお父さんの影響もあって、私も子供のころから色々なことをしました」
三歳のころ、クリスマスツリーの飾りつけなんかもしていたらしい。それぐらい、私は芸術と関わって生きてきました。
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:52:10.69 ID:R8kowSVNo
「どうしたらいいかわからなくて、それで周りに合わせることにしたんです。当り前の世界を当り前に表現しようって」
それからは人が寄ってくるようになりました。当然です。技術で同い年の子に負けるとは思いません。私は尊敬の目で見られるようになりました。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:53:30.77 ID:R8kowSVNo
「……君はどうしたいのかね?」
「私は……絵を描き続けますよ。これ以外にやりたいこともありませんし」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:57:19.75 ID:R8kowSVNo
スケッチブックと向き合い集中します。何を描くか、公園でいいや。目の前に広がる景色、いつも傍にいた鳩はいません。
描き始める。音が消える。右手は止まらずに動き続ける。時々顔を上げる。けれど、景色が変わることはありません。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 00:58:52.66 ID:R8kowSVNo
「良ければもう一つお願いしてもいいかな?」
「……なんですか? 私には……もう……」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/21(水) 01:03:23.52 ID:R8kowSVNo
鳩の人形を受け取る。小さくて白い、普通の鳩だ。絵の上に置く。それは絵の中にまったく溶け込んでいません。
おかしな絵です。本当におかしい。アンバランスなんてもんじゃない。無機質な私の絵に無遠慮に割り込む鳩に、笑いが止まらない。
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