5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/25(日) 13:00:53.65 ID:dxcDzJ6y0
勘違いしないで欲しいのは、僕は決して怠惰を推奨している訳でも勤勉を否定している訳でもない、ということだ。
要は、働きたい者は働けばいいのだし、働きたくなければ働かなければいい。それだけのことだ。
ある一人の男が働かなかった結果、晩年になり両親も逝去し、食い扶持もたつきの方法もなくひたすら孤独に死を迎える結果になったとしても、それは彼自身の問題であり、決して他人が関与することではない。
確かに、蟻と螽斯ではないが、蓄えを作った者が後々になって勝ち目を見るのは自然の法則だ。だが五十年を永く、家庭を築き老後を静かに生きたいという人間もいれば、十年を面白く生きて死にたいという人間もいる。
死に方まで世の風潮に決められてはたまったものではない。
長くなったが、ようやく本題に入ろう。
僕はシンデレラプロに入社して、産まれて初めて本物のニートに出会った。
いや、アイドルとして活動している以上、正確には元ニートとでも呼ぶべきだろうが、彼女の在り様は所属前後で大して変わっていない。
昼過ぎに起きて、積みゲーを消化しながらおやつを貪り食い、適当に晩飯を食べながらネットサーフィンとオンラインゲームに耽溺する。
外に出るのはコンビニのみ。
たまにゲーセンと本屋にも行く。
アイドル活動がある日でも彼女はそのスタイルを敢えて崩そうとはしない。
ある意味、自分は絶対に働きたくないでござる、という気迫が伝わって来るようで、時折気圧される程だ。
彼女を見ていると、時々思うことがある。
働かずに遊んで暮らすことが、選ばれた人間のみに許された行為だとしたら――。
果たして怠惰の果てに人は何を見るのか。
彼女の名前は、双葉杏。
彼女は、蟻に囲われた。
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