131: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/08/07(木) 10:43:29.72 ID:WE5r05oHo
あまりに官能的な光景なので、ダニエルは思わず、自分がアリシアを抱いている姿を想像してしまった。
頭の中で彼女が嬌声を上げ、淫靡なダンスを踊る。
彼女は可愛らしいが、まだティーンじゃないか。自己嫌悪感に頭を抱える。
ダニエル「……僕は、こんないたいけな乙女を洗脳してしまったらしい」
アリシア「洗脳じゃありませんにゃ! 私の、ご主人様への愛を疑うのですか!?」
ダニエル「……何も言えないな……僕がスクールガールほどの女の子に手を出すなんて……」
アリシア「手は出されていませんにゃ。それとも、これから……」
ダニエル「断る。僕の記憶喪失、治る見込みは?」
アリシア「……それが……」
ダニエル「なら誰か良い男見つけて普通の恋をするんだ。見た目からして僕は20代前半だから、君は若すぎる」
アリシア「……断りますにゃ。勝手に記憶喪失になって、勝手な倫理観でみゃーを捨てるんですかにゃ? 酷い男ですにゃ」
ダニエル「そうだな。勝手だ。……クソッ。なら勝手にするがいいさ」
アリシア「勝手にさせて頂きます」
「どちらにせよ今のご主人様は、私が居なければ困るのでは?」
「……」
「お役に立てて嬉しいですよ。私は最高の道具です。ご主人様……さあ、次の御命令を」
「僕が君に死ねと言ったら、死ぬのか」
「もちろん」
「……重症だな。死なないでくれ。それが次の命令だ」
「はい。命に代えても」
「なんかそれ、矛盾してないか?」
「にゃはは」
アリシアは、『神』を自称し、僕のような人間を監視しているらしい。
だが今見せるアリシアの表情は、媚びた『奴隷』のものだ。
……かつてゲームの世界で知り合った少女を思い出す。
小悪魔のような、女王のような、『聖堂』のリーダー。フィオナ・フラット。
僕があの世界で初めて手を取り合った、最初の仲間……。
あの少女と同じようにアリシアもまた、危うい二面性を持っている。
『神』か『奴隷』か。
全ては宙に浮いたまま、僕は翻弄されるしかなかった。
#
1棟のトレーラーハウスの隣に大きな廃工場がある以外は、周囲に大自然が広がるだけの場所だった。
……いや、その表現は誇張が過ぎる。
ここはハイウェイ沿いで、ぽつぽつとモーテルや住宅街、酒場などが見える。
先程の大都市と比べた落差で、何もないとすら思ってしまったのだ。
アリシアと雑談すること4時間。かなり遠くまでやってきたらしい。
アリシア「到着ですにゃ」
ダニエル「ここが例の『研究所』なのか?」
アリシア「そうですにゃ。さあ、ご主人様。私めがエスコートいたしますにゃ」
ダニエル「あ、あぁ」
タクシーの運転手はチップを受け取ると、気だるそうに元の大都市へ向かっていった。
アリシア「……あのタクシー、うちの組織の者だから。情報漏洩についてはあり得ないから安心して」
ダニエル「ああ」
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