40: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/05/27(火) 07:53:31.75 ID:vmBYOszLo
#2−3#
そして、遠くに大きな聖堂が見えてきた。
少女はそれを指さすと、道路脇で打ち棄てられていたロッカーを開け、中のドレスを取り出した。
フリルは少なく上質の生地、スカートはくるぶしまである、肌の露出が少ないワインレッドのドレスだ。
少女「何? 私の着替えが見たいの? 胸はまな板だし、背中に大きい火傷痕があるのよ。貧相で悲惨な体ね」
男「着替えを見る気はないが、そう自分を卑下するな。胸は育つだろ……多分」
少女「多分ね」
「ところでアンタ、私の『叔父』ってことで、集落ではそれで通しなさい。
……同じザナドゥ使いだもの、養ってあげるから、お互いこの狂った世界を生き抜きましょ」
少女「……!! ね、ねぇ。着替えは後回しになりそう。……背後に1人、『ヘンなの』がいる」
男「『ヘンなの』?」
少女「気配が出たり消えたりしてんのよ……ザナドゥ使いか何かに尾行されてる」
男「集落まで急ぎ、助けを求めるか?」
少女「ムリよ。集落に危険が及ぶ。……『プリンセス』フィオナ・フラットとして、ここは死守する!」
少女はバックパックを探り、その体格に見合わないであろう、世界最大威力の自動拳銃――デザートイーグルを取り出して構えた。
男は、少女を見ていて、何やら危うげな儚さがあると感じた。
この勇ましい少女には、庇護欲を掻き立てる何かが存在するのだろう。
カリスマとは、何も絶対的な威圧だとか、高貴な血筋とかだけではない。
『守りたい』と思わせるのも、立派なカリスマだ。
「当然、1人で勝てるとか思ってないよな」
男はプリンセスのために、自然と一歩前へ踏み出していた。
「ところで、そんな大きい拳銃じゃなくて、僕のM1911を使え」
「大丈夫、この子(デザートイーグル)とはブラジャーよりも付き合いが長いの」
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