過去ログ - School Daysより「鮮血の結末」…その後
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2014/05/25(日) 22:38:32.35 ID:9FBrt30T0
※何となく公開したくなったのでやってきました。
これは、およそ7年前に書いた作品です。
ちぐはぐな点もあるかもしれませんが、ご容赦ください。
目の前にいる、二人の少女。
そのどちらもが、見るも無惨な姿でベッドに横たわっていた。
頸部を中心に、保温のため全身が包帯でぐるぐる巻きになっており、
無数につながれた電線が、彼女らの心拍機能を測定していた。
部屋にこだまする機械音は、二人の弱々しい心拍をそのまま反映していた。
そして、ベッドの側につるされた点滴、血清、口を覆う酸素マスク…。
どちらの少女も、死と隣り合わせのチアノーゼを発症しており、
露出している肌すべてが死人のように青ざめていた。
外見はほとんど同じで、どちらが誰なのか一見では分からないが、
頭部の包帯からわずかに出ている髪の毛の違いだけが、
判別の手がかりとなっていた。
右側、頭頂付近から癖っ毛が覗いているのが、西園寺世界。
左側、あちこちの包帯に長い髪が絡んでいるのが、桂言葉。
彼女たちは、ほんの一時間ほど前、鮮血の結末を迎えていた。
今、こうして二人を見つめている男…伊藤誠の目の前で。
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2014/05/25(日) 22:39:58.37 ID:9FBrt30T0
よく晴れた、冬のある朝。
学園前駅の構内から出てすぐの歩道橋の上。
とても賑やかしく構内から出てきた、学生の一団があった。
手をつなぎ、仲良く学園へ向かう誠と世界、
二人を囃し立てる世界の友人の甘露寺七海と、黒田光たちだ。
以下略
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2014/05/25(日) 22:41:12.43 ID:9FBrt30T0
「桂…さん?」
あわてて握っていた手を離し、様子のおかしい言葉に、世界は声をかけたが、
言葉は何も聞いていないかのように、ゆっくりと世界の前に立ち、
鞄の裏に隠し持っていた抜き身のレザーソーを取り出し、その刃を世界にむけた。
言葉が不敵な笑みを浮かべた、次の瞬間。
以下略
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2014/05/25(日) 22:42:07.90 ID:9FBrt30T0
たちまち、歩道橋の上にいたすべての人が、
その凄惨な現場を目の当たりにして、パニックに陥った。
駆け出す人、しゃがみ込む人、雄叫びを上げる人…。
血塗れの世界の姿を見て絶叫する七海、うずくまり震え続ける光。
何もできずにただ見ているだけだった誠は、まだ、何が起きたのか理解できなかった。
以下略
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2014/05/25(日) 22:43:40.76 ID:9FBrt30T0
世界と言葉、二人の少女が、一人の少年…伊藤誠を取り合った結果だった。
けじめなく続いた三人の関係が迎えた、来るべき展開だったのかもしれない。
誰か一人を罰するわけではなく…三人が平等に受けるべき罰を受けた、
そうとらえることも、できるかもしれない。
以下略
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2014/05/25(日) 22:44:54.81 ID:9FBrt30T0
事件直後、幸か不幸か、付近を通っていた救急車により、
二人は出血状態ではあるものの、致死寸前の状態で保護された。
いち早く気丈に戻った七海が、二人の血液型を救急隊に説明したことにより、
止血処理後、血清がすぐに打たれた。
レザーソーによる創傷は…頸動脈に至るほど深く、
以下略
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2014/05/25(日) 22:46:11.20 ID:9FBrt30T0
緊急医療室への搬送後、病院から連絡を受けた世界、言葉、二人の家族が駆けつけた。
世界の母・踊子も、言葉の母・真奈美も、仕事仲間であるだけに、
お互いの娘に起こった悲惨な顛末にただただ驚き、悲しむあまりだった。
「ねえ、いったい何でこんなことになったの?」
「お姉ちゃん…お姉ちゃん死んじゃうよ!」
以下略
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2014/05/25(日) 22:47:55.85 ID:9FBrt30T0
「あなたはその場にいたんでしょ? どうして何も言わないの!」
すさまじい表情でにらみつけるが、その目からは涙が止まらない。
誠はなおも何も言えず、真奈美の怒りをさらにかき立てたが、
その場にいた看護士たちがその様子に気づき、誠は真奈美から放された。
「やめて! あの子は全部知ってるのよ! 私たちに話すべきだわ!」
以下略
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2014/05/25(日) 22:48:51.43 ID:9FBrt30T0
病院にいた誠は、まもなく、今度は警察に呼ばれ、
殺人未遂事件の現場に居合わせた者の中でも重要人物であるとして、
事情聴取を受けたが、ここでも無言を貫き、何も語らなかった。
休みを挟みながら、時に優しく、時に厳しく、
およそ2時間にわたり担当の警察官は粘ったが、
以下略
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2014/05/25(日) 22:49:39.11 ID:9FBrt30T0
警察署から出た誠だが、戻るべきところは病院…のはずだった。
しかし、誠は、まるで何事もなかったかのように、家へと戻った。
今は思考停止して、ただ眠りたい…そう考えていたが、
病院や警察から既に連絡を受け、家で待っていた母親は、それを決して認めなかった。
「傷ついているのは、誰なのよ! 今すぐ、二人のいる病院に行きなさい!」
以下略
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