過去ログ - 【とあるSS】壊れた窒素と、打ち砕く幻想【改】
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11:K[saga]
2014/05/27(火) 02:59:06.64 ID:miaor/mCo

絹旗「……いえ、特には」

 滝壺の質問に、絹旗は間を置いて答えた。
 背中を猫のように丸め、ソファーに靴を履いて膝を立てる。
 殻に籠もるように、膝を抱えて絹旗は膝に顔を埋めた。

滝壺「ふむ……元気が無いね。そういう時はこれだよ、きぬはた」

 やや元気のない絹旗を見かね、滝壺はコップに注がれたジュースを差し出す。
 絹旗は滝壺の厚意に顔を上げる。
 そして直後、絹旗の目が見開かれた。

絹旗「……今日は何を超混ぜたんですか?」

滝壺「苺おでん、ジンジャー、ヤシの実サイダー、枝豆珈琲、後はえーっと……」

 滝壺は視線を斜め上に向け、両手の指を一つ一つ曲げながら答えた。
 絹旗の眼前に置かれた手の平に収まるコップに注がれた液体は、まるでヘドロのように渦巻き、泡が浮き上がっていた。
 浮き上がった泡は、表面に出来た薄い膜をゆっくりと持ち上げ、そして裂いた。
 それを平気で飲む滝壺も、やはりまともではない。
 いや、そもそもこの四人にまともな人間はいないだろう。

絹旗「滝壺さん、ご厚意だけで超結構ですので」

 絹旗は指先でそろそろと滝壺にコップを返却する。
 机の上を滑らせながら、注がれた液体は重たい波を作った。
 絹旗はこれを片付ける店員の泣く顔が容易に想像できてしまった。

麦野「ったく、隣に座る私はたまったもんじゃねえよ」




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