4: ◆AzQd5RQbFxWA
2014/05/27(火) 17:03:50.84 ID:2jYFvZQ+0
彼女の憎しみは大きくドス黒く成長していました。大きな大きな不の塊になりました。
そこに目をつけたのは、一匹の悪魔でした。
大昔、それこそ西暦が始まるずっと前、悪魔は大いなる存在として力の限りを振るっていました。
ですが、力をつけ強くなった古の人たちに封印され、力を失ってしまったのです。
それ以来ずっと悪魔はじっと耐え忍び力を溜め込んでいました。
悪魔は人の憎しみや妬みを食い物に成長していきますから、人一倍悪意の強かった彼女が目をつけられるのも、ある意味当然のことだったのかもしれません。
「俺はお前の願いをかなえてやろう」
「じゃあ、じゃあ、あの子を殺して」
搾り出すように彼女が言葉をつむぎました。彼女の額から汗がたらりと零れました。
影はくつくつと嗤いました。
「すまないが、俺は力を失っている。直接手を下すことはできんのだ」
「じゃあ、私を彼女より美しくして!」
影はまたも、肩を震わせて嗤います。
「そんなことは天使や女神に頼むもんだ。俺は悪魔だぞ?」
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