過去ログ - 絵里「希と付き合うことになったけど、やだもうお家かえる」
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[saga]
2014/05/29(木) 17:39:55.62 ID:d9oKBQfV0
設定のねつ造あり、百合、えりのぞ
「希、私と付き合って」
私の口からそんな言葉が出るなんて。私自身、どこか俯瞰して言った。
いつものランニングが終わり、階段の最上段で休憩している時のことだった。
今までも何度か言いかけては止め、言いかけては止めを繰り返してきた。今日、ついにその練習の成果が発揮された。
なぜ、私がそんなことを今頃になってやっと言ったのかというと、夕日に照らされる希があまりに綺麗だったから。
それだけの理由で、口は勝手に言葉を紡いでいた。
「えりち……」
希は少し驚いていた。それもそうだろう。友達からの突然の告白だ。
「あ……やっぱり男の子がいいかしら?」
それは、ごく普通のことだった。私は希が何か話す前に、言い訳のように言った。心臓は早鐘を打っていた。希に聞かれてしまうのではと思った。
「ううん」
希は首を振る。
「男の人はね、苦手なんよ」
希の口元がわずかに動いた。笑っているようだ。彼女はゆっくりと手を伸ばす。胸を張って背伸びをする。そして、ぽつりと言った。
「好きなん? ウチのこと?」
「え、ええ……」
せめて堂々としていよう。強がりな私が、意地を張っていた。こちらを見つめる希は、それを見透かしているようにも思えた。
希の頬にたらりと汗が流れる。私は喉を鳴らした。
「ありがとう、えりち。付き合おっか」
包み込むような笑顔に、私は思わず安堵の溜息をもらす。
「ふふ‥…緊張してたん?」
「当たり前でしょ……」
「頑張ったんやね。ありがと」
「もうなによ、それ」
私と希は、そんな風にごく平凡なスタートを切った。
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