過去ログ - やはり雪ノ下雪乃にはかなわない第二部(やはり俺の青春ラブコメはまちがっている )
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610:黒猫 ◆7XSzFA40w.[saga]
2015/01/22(木) 17:28:50.26 ID:rAodTcpR0


第35章





7月11日 水曜日






俺が携帯画面を見るのを拒むように差し込む西日を避ける為、ビルの柱の陰に入り込む。

夏のむっとする空気が幾分か和らぎはしたものの、携帯に蓄積され続けているメールは

俺の汗腺を緩めてしまう。首も元にねっとりとまとわりつく汗を和らげるために、

ネクタイを緩めて、Yシャツの第二ボタンまで外す。

一応商談ともあるわけでスーツに着替えてはいた。

雪乃の親父さんからは、服装は普段着でいいとのお許しを得てはいたが、

総武家の大将が、ラーメンを作るときのユニホームからスーツへと着替えているのを

見た時は、親父さんのご厚意をやんわり返上していた事に、ほっと息をついてしまった。

やはりビジネスであるわけで、第三者である俺もマナーを守るべきである。

今はいいかもしれないが、雪ノ下の関係者という甘えがなあなあの関係からの甘えを生み、

いつ落とし穴に落ちてしまうかわかったものではない。

とりあえず商談も終わり、大学生に戻った俺は、スーツの上着を鞄と一緒に抱え込み

臨戦態勢で目の前まで迫った恐怖に立ち向かう事にした。

俺が商談中に舞い込んだ携帯データによると、

86通のメールと10件の留守番電話メッセージが届けられている。

雪乃と陽乃さんの二人によるもので、おおよそ半分ずつといった感じだろうか。

内容をまとめると、陽乃さんからは、雪乃を預かった。

返してほしかったら雪ノ下邸まで来い、といった感じだ。

一方、雪乃からは、陽乃さんの戯言に付き合っている時間はないから、

私を迎えにきたら、そのまま帰りましょうといったものだ。

この内容で、どうして86通ものメールを送る事になったのか、

今も送られてきているメールも含めると91通になるのだが、

このメール合戦にいたるまでの経緯など知りたいなど思えなかった。

どうせ陽乃さんが雪乃を挑発して、雪乃が負けじと応戦したのだろう。

とにかく夕方になっても気温は低下してくれないし、

暑苦しい事は極力さけるべきだ。

だから俺は、ビルの陰から西日が強く叩きつけられるアスファルトを早足で歩きだす。

一刻も早く次の日陰に逃げ込もうとテンポよく進む。

だが、一通だけ趣旨が違うメールが着ていた事を思い出し、早足だった足が止まってしまう。

脳にインプットされたメール情報が誤情報でないか確認する為に携帯で再度確認したが、

やはり誤情報ではなかった。

送信者は、雪ノ下陽乃。




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