過去ログ - やはり雪ノ下雪乃にはかなわない第二部(やはり俺の青春ラブコメはまちがっている )
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黒猫
◆7XSzFA40w.
[saga]
2015/07/23(木) 05:22:42.80 ID:G6XbfMQl0
それは当然だった。
雪乃の頬に一筋の透明な筋が描かれると、雪乃は俺との距離を一瞬でゼロにまで縮めてしまった。
俺の両腕を抑え揺さぶる姿に、俺は他人事のように見ているしかなかった。
あっけにとられたというのならば、その通りなのだろう。
なにせ、雪乃が取り乱している。
なにせ、雪乃が剥き出しの感情を俺にぶつけてきている。
なにせ、こんな雪乃を俺は見た事がない。
人間予想以上の出来事を目の当たりにすると何もできないというが、その事態が今俺に降り
かかっているというのならば、きっとこれこそが俺の想定外の出来事だったのだろう。
けれど、一気に噴出した雪乃の感情は、その役目を果たす前に霧散していく。
俺の腕を掴んでいた小さな手は、俺の腕をさするように下へと落ちていく。雪乃の体も、
体を支える力が抜け落ちて、俺の体がぽすんと軽すぎる雪乃を受け止めた。
八幡「……雪乃?」
雪乃「……の?」
八幡「ごめん。聞き取れなかったから、もう一回言ってくれると助かる」
俺は小さな悲鳴さえも聞き逃すまいと、雪乃の口元に耳を近づかせようとした。しかし、
それは雪乃の体を一度引き離すことを意味し、雪乃は俺の行為を拒絶と受け取ってしまう。
雪乃「私、捨てられてしまうのね……」
八幡「雪乃?」
雪乃「私……、姉さんが選ばれたのよね? 私、私……、私」
八幡「雪乃」
黒く大きな瞳からは涙が覆い尽くし、その雫が瞳を黒く輝かす。瞬きをするたびに大きな雫が
頬を撫で、とどまらぬ感情が俺に押し寄せてきた。
場違いにも、美しいと思ってしまった。目の前で俺を求める雪乃を見て、残酷にも嬉しいと
いう感情さえも抱いてしまう。最低な男だ。むしろ人間失格とさえ罵られるほどだ。
こんな歪な純愛は、俺と雪乃が望んでいるものではない。もちろん俺も雪乃も正しい愛状が
何かはわからない。それでも間違っている事さえわかっていれば、それを直す事は出来る。
そうすればいつかきっと俺たちなりの正解にたどり着くのだろうと、楽観的すぎる純愛を描いていた。
八幡「俺は雪乃しか選ばない。それに雪乃をもう選んじまったから、変更はきかないんだけど。
まあ、雪乃がどうしても嫌だって言うんなら、俺は雪乃の事が一番大事だし、俺は雪乃の
選択を受け入れる。でも、俺は、雪乃が俺を拒絶するまでは、雪乃だけみてるから……、
って、ちょっとラブコメすぎて痛いな」
雪乃「……どうして最後に余計な一言を言ってしまうのかしら? それさえなければきまって
いたのに。あぁ、冴えないわね。ほんと冴えない。どうしてこんな男を選んでしまったのかしら?」
鼻を小さくすすり、涙を隠そうと強く目元をこすろうとするものだから、
俺は雪乃の手をやんわりとどけ、俺の指を使って涙をすくっていく。
八幡「かっこよく決まらないのは俺だからしょうがない。かっこよすぎる行為をしても、
それをやってのけてしまうと、かえってきまらないだろ。むしろ笑いの神様が降臨しちまうよ」
雪乃「それはそうね」
八幡「わかってくれたか?」
雪乃「……わからないわ」
八幡「えっと、……どうしてでしょうか?」
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