過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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[saga]
2014/07/27(日) 21:11:19.78 ID:z9W9RmgV0
教師は苛々と教頭を睨めつける。その理由、教頭の少女に向けた視線にあるのは、疑いようもないほど露骨な好奇と媚び。
――この男は見るからに欲情していた。
たしかにこの少女は美しい。こうしてただ腰掛けているだけでたおたかな風情を醸し出す。
それは、物憂げに伏せられた睫毛が目の下につくる、あるかなしかの陰影のなすわざか、それとも礼儀正しく膝に置かれた手の滑らかな白さのためだろうか。柳を形作る眉は細い筆を払ったように目尻に抜け、綺麗に揃えられた前髪が濡れたように黒い瞳をよく引き立てた。
清冽な雰囲気と淑やかな形が不思議に共存していた。
一方で、 単に優美だというだけではない。
この少女には、華と呼ぶにはあまりに真に迫るものがあった。
教頭の視線は、何の変哲もない仕立てのセーラー服をなめている。襟に隠れた胸元からはえも言われぬ色香が目に見えるようだった。つ、と視線を下に辿ればネクタイを押し上げて豊麗な曲線を描き、すとりと重力に従って布地が降りていた。
教頭が瞼の裏に映している幻は、間違いなく服に覆われ隠された少女の肢体だった。
彼女自身は決して己を強く主張しない。なのに目を背けることを許さない存在感があった。
この少女の持って生まれた美は、見る者を圧倒するだけのものではない。
ただ鑑賞するに止まらせず、人を惑溺して人倫を侵食する類のそれだった。
例えばこの匂い立つようなうなじはどうだろう。光に当てれば透け、闇の中にあってはぼうっと浮かび上るような、その白粉とは比べるべくもない白さ。
それは人を驚嘆せしめると同時に、ある一つの衝動を抱かせるのだ。
――この肌に、自分の痕を残せたら。
きっとこの少女には傷一つ、染みすら一つとて存在しないだろう。それに己の証を刻みつけることは、取りも直さずこの天の与えし至宝たる少女を掌中に収めることを意味した。
幻に浮かぶ少女の瑞々しい柔肌はきっと、切なる願いを容易く叶えるだろう。
まるで新雪を踏み荒らす喜び、何も描かれていないキャンバスをカッターナイフで切り裂く愉悦、人の持つ征服欲を刺激するのにこれ以上のものはなかった。
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