過去ログ - 阿良々木暦「になショウ」
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25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/05(木) 19:44:01.12 ID:DNBJrAglO

「ふう……ここまで来れば大丈夫だろう」

しばらく走った後、手頃なカフェに入り一息つく。
市原にはオレンジジュースを、神原と僕はアイスコーヒーを。

席に座り僕が何も言わず呼吸を整えていると、神原が神妙な面持ちで話しかけてきた。

「なあ阿良々木先輩……問いたいことがあるんだが」

「ああ、わかってるよ」

神原は、何故自分がここに呼ばれたのか、その理由を知りたいのだろう。
普段の言動と行動に反して中身は意外と繊細な奴なのだ。
出会ってから五年以上経ってもいる。
神原も成長せざるを得ないだろう。

「先程自分で言ってみて気付いたのだが、太っ腹、という言葉は中々にエロいと思うのだ。どうだろう」

「相変わらずで僕は嬉しいよ!」

いや待て、確かに太っ腹という言葉はそういう目で見るとエロいかも知れないな。
『女の子の』という前提がつくことが最低条件だが。

渋谷の太っ腹。
西園寺の太っ腹。
高垣さんの太っ腹。

……うん、アリだな。大アリだ。

「それで、私がここに派遣された本当の理由は何なのだ?」

「んん……また明日来てくれよ、しばらくはこっちにいるんだろう?」

「それは構わないが――」

『暦、このケーキが食べたいでごぜーますが』

「いい加減それ外せ。自分がもう一人いるみたいで気持ち悪い」

市原の口元にくっついていたボイスチェンジャーを外し、店員を呼び出す。

さて、この悪魔の機械、どうしてくれようか。

「阿良々木先輩、それ、私にくれないか」

「お前には妹たちの次に渡しちゃいけない気がするんだが」

「失礼な、個人的に使用するだけだ」

「ボイスチェンジャーをどう個人的に使うんだよ」

「それはもう、阿良々木先輩の喘ぎ声や甘々ボイスを録音して神原家の家宝として……」

「絶対に渡さないからな」

池袋には悪いが、後で処分しよう。
やって来た店員にケーキを追加注文する。

「しかし、あれだな。こう外見だけ見ると我々は家族に見えるかも知れないぞ」

「あのな、市原は九歳だぞ」

いくつの時の子供だよ。
良くて兄弟……いや、兄弟としても離れすぎか?

「……私も、恋人が欲しくなってきたな」

どこか悟り切って市原を見るその目は、少なくともいつものぎらついた野獣のようなそれとは違ったのだった。



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