7: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/08(日) 13:28:44.06 ID:V2I0Qyiz0
「両者、リングの中央へ」
アナウンスに導かれ、王者の山田、そして挑戦者の佐藤が互いに手の届く距離まで歩を進めた。
そして同時に懐へ手を伸ばす。
両者は睨み合ったまま、お互いの動きを観察するように、ゆっくりと懐の中のモノを取り出した。
名刺ケースである。
「わたくし、月並工業で半導体の研究をしております、佐藤健太と申します」
まずは挑戦者が名刺を差し出す。
低頭し、両手でおごそかに差し出された名刺を、王者はうやうやしく両手で受け取った。
続いて王者の名刺が差し出される。
「私は丸々製薬で宣伝部長をしております、山田太郎と申します」
差し出された名刺には、名前や肩書きに加えて
『第八代目 バーコードバトラー 王者』と太字で記入されていた。
挑戦者はそれを受け取ると、すぐさま名刺入れに仕舞って王者の顔を睨みつける。
一方、王者は眼鏡の角度を変えながら受け取った名刺を眺めており、
「ああ、岸辺さんトコの」などと呟いていた。
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