過去ログ - 姉「でも、自分がいる場所を失ってしまうこともあるかもしれない」
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/14(土) 21:43:52.62 ID:izjnFaTMo




駅の前で亜十羅と別れてから、俺は駅前をぶらぶらと歩いた。
家に帰っても今の時間なら姉ちゃんはいないが、母さんがいる。
できることなら家にいる時間はなるべく減らしたかった。

駅前の本屋で一〇〇円の古本を一冊買ってから
コンビニでレモンティーを買って、のろのろと住宅街の方へ歩いた。
だんだんと駅前の喧騒から離れていくのが、すこしさみしかった。

幼稚園児を乗せた派手な色のバスが、脇を通り過ぎた。
遠くからは園児の帰りを待っている母親たちの
ぎこちない会話が、冷えた風にまざって耳に飛んでくる。

俺は家からけっこう離れたところにある公園に向かった。

公園にはちいさな砂場とつるつるとした石の滑り台があり、
とってつけたみたいに馬や象のかたちをした遊具がある。

ベンチの辺りには黒と赤のランドセルが無造作に置かれていて、
小学生の女の子が象にまたがって前後に頭を振っている。

しばらくするとその子が俺の方を見て、「あっ」と言った。「ろんちゃんだ」

俺は手を振った。「ひさしぶり」


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