5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/17(火) 02:58:54.85 ID:/eWvdN5Bo
その小さな教会は第十二学区の北部にあって、中心街の喧騒からは離れ昼下がりの穏やかな
陽光に照らされて白く輝かんばかりであった。昼の祈りを終えた神父は外壁と同じくらい染み
一つ無いアルパを脱ぎ、ローマン・カラーの付いた灰色のシャツに黒のチノパンというややラ
フな格好で、昨日までもそうであった様に静かに告解室の片側に入り、中に置いてある木製の
椅子に腰掛けると、入ってきたときと同じようにまた静かに告解室の扉を閉めた。告解室は狭
く直接日が差さないため暗かった。神父は居眠りでもするかのようにゆっくりと目を閉じ、瞑
想に入った。
学生の多い学園都市において平日の昼間に、まして科学を重んじる学園都市の風潮にあって
は教会の告解室を訪れるものなどほとんど居ないのだが、それでも神父は毎日決まった時間に
告解室に入り決まった時間に告解室を出た。日も差さずそして外界の騒音がほとんど入らぬ告
解室は実際様々な考え事をするのに適していたし、予期せぬ来訪者のためにも教会は常に開か
れていなければならないと信じていたからであった。
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