114:1[sage]
2014/10/04(土) 23:40:06.68 ID:c4R1WUbH0
艦娘(小さな島に深海棲艦の姿を知るモノは殆どいない。だが、怪物という事だけは解っていた)
艦娘(漁業に出ている漁師たちが慌てて家に逃げ戻ってきた)
先代吹雪「弾丸少ないし、魚雷も2発しかないか…しょうがないよね」
艦娘「行く、の?」
先代吹雪「うん。それが仕事だから」
艦娘「でも、それ壊れてる」
先代吹雪「大丈夫。たとえ何体来たって怖くない」
先代吹雪「それにね。アイツらがいたら、貝だって全滅しちゃう。アイツらは海の資源も壊しちゃう」
先代吹雪「私がやっつけちゃうんだから!」
艦娘(そして彼女は壊れたままの艤装をつけ、弾丸の少ない砲を掲げて沖へと向かった)
艦娘(沖へ、とにかく島から離れた場所で戦おうとして)
艦娘(止めるべきだったのか否かは、今でも解らない。でも…)
艦娘(夕暮れの頃に大砲の音が幾度も響いて、島からも見えるほどの火が何度も放たれて)
艦娘(そして夜のうちに、戦いは終わった)
艦娘「…!」
父「なんてことだ……」
艦娘(沖から、こちらへ戻ってきた彼女の姿は誰が見ても重傷だった。もう、長くないことははっきりしていた)
先代吹雪「貝は…貝は……」
父「…あ、ああ」
艦娘(深海棲艦との激しい戦いで流出した油が、弾薬が…まさに私達の家の貝カゴを直撃していた)
艦娘(どれもこれも、死んでいる。父の顔が曇っているのが解っていく。だが)
父「だ、大丈夫だ! 君は、貝を守ったんだ! 素敵な真珠が出来るぞ!」
先代吹雪「見たい…どんな貝だろ…」
艦娘(力なく微笑む彼女の先に、一つだけ貝があった)
艦娘(小ぶりで、成長が遅れている。でも、一つだけ被害を免れていた。たくさんあった貝の、一つだけ)
父「ほ、ほら! ごらん、綺麗な色をしてるだろう?」
先代吹雪「綺麗……」
先代吹雪「素敵な真珠に…なるといいな」
艦娘「私達を…守ってくれた…だけじゃない、貝を…」
先代吹雪「いつか…いつか綺麗に……優しい海で…綺麗な真珠をつけて……」
艦娘「…いつか、綺麗な…優しい海で…」
艦娘(その日来たの連絡船での輸送中に、彼女は息を引き取った)
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