19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/20(金) 18:57:48.24 ID:aUpPVcxlO
003
「むむ、さすがは高級です。素晴らしい風味ですね! 」
「おいしいー!」
「…………」
確かにそのチョコレートアイスの味は未だかつて味わったことのない、筆舌に尽くし難いものではあった。
が、アイスクリームひとつ七百円。
飲み物も含め三人で四千円。
コンビニやスーパーで売っている百円アイスの七倍美味かと問われると首を傾げざるを得ない。
まあ、ワインとかも天文学的な値段がついたりするし、こういうものってブランドとか雰囲気で高くなるのは仕方ないとは思うのだけれど……。
ああ、貧乏舌が恨めしい。
「ところで滅星さん、でしたっけ?」
「にょわ!?」
「そんな世界征服出来そうな悪意のある間違え方をするな! 彼女の名前は諸星だ!」
「失礼、噛みました」
「違う、わざとだ……」
「噛みまみた」
「わざとじゃないっ!?」
「I have made the mistake in saying(噛みました)」
「絶対わざとだ!」
「真宵ちゃんはかしこいねー」
しかも滑舌いいから二倍憎らしい!
「阿良々木さんと同行しているということはアイドルのお方ですよね?」
「そうだよ!」
「いやあ、さすがはアイドルの方は纏うオーラが違うと申しますか、まさに貫禄を感じますね。阿良々木さんとは違って」
「うぇへへー、ありがにょわー☆」
「当たり前だ、諸星は僕の自慢のアイドルだからな」
諸星は身内であることを差し引いてもとてもいい子だ。
初対面ではその体格と規格外のテンションに気圧されがちだが、慣れてくると色々なことが分かってくる。
意外と他人を気遣っていたり、その持ち前の明るさでその場の暗い雰囲気を強制的に塗り替えるなどの力業もやってのける。
アイドルをやっている理由も、みんなに笑っていて欲しい、とただそれだけ。
要するに、誰よりも純粋なのだ。
純粋であること以上に強いものはない。
だがその反面、純粋ほど脆いものもない。
一度崩れてしまえばそれまで、という危うさも持ち合わせている。
その辺りも考慮に入れて管理するのが僕の仕事なのだが。
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