21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/20(金) 19:01:05.72 ID:aUpPVcxlO
「…………!」
戦慄が全身を駆け巡る。
そう言われてみればそうだ。
なんで諸星は八九寺が見えているんだ?
八九寺は人に非ざる存在、怪異だ。
僕も吸血鬼の末端であるがゆえに常時八九寺が見えている。
神であり怪異である八九寺が見えるということは、諸星が怪異そのものか、諸星に怪異関連の何かが起こっていることに他ならない。
「まったく、自分の身長ばかり気にして担当アイドルも気遣えないとは最低ですね阿良々木さん」
「ぐぅ……」
ぐうの音は出たが八九寺の言う通りだ。
でも身長のことしか考えていないようなその物言いはやめてくれ。
僕だって流石に他のことも考えてるよ。
「にょわ――――――――っ!?」
「!?」
突然店内に響いた諸星の悲鳴(?)に身体が反応する。
急いで手洗いに向かうと、幸運にも諸星は女子トイレの入口の洗面所で顔を真っ青にしていた。
「諸星!!」
「こ、暦ちゃん……」
こんな表情の諸星は初めて見る。
いつもが常時天真爛漫な彼女だけあって、その深刻さも容易に読み取れた。
「あ、あれ……?」
何か、違和感がある。
いや、いつも感じているものが、更に増幅されているような……。
そう、『いつも見上げている諸星の目線が、更に上にある気がする』。
馬鹿な、数分の間に目に見える程背が伸びたとでも言うのか。
いや、いくら成長期の諸星であってもそれこそあり得ない。
「暦ちゃん、こ、これ……」
諸星が足元を指す。
「……!!」
諸星は、浮いていた。
足の裏から地面まで、目算で凡そ5cm程だろうか、比喩でも揶揄でもなく、重力法則を無視し中空に浮かんでいたのだ。
諸星きらり、十七歳。
彼女は、螽?に浮かされた。
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