16: ◆V0KrAyBMBI[saga]
2014/06/30(月) 19:32:30.09 ID:O3eRG2Ma0
「失礼します」
放課後、僕はいつもの空き教室の扉を開ける。
あれから雨は激しさを増し、全校生徒に校内一時待機の放送がなされた
あまりの雨量に道路は冠水、電車も一時ストップ。
近くの河川も増水して危険な為、その近くを通る生徒は別の道を使えとのことだ。
僕は普段河沿いを歩いて通学しているため、僕にも当てはまる。
空き教室の中では、いつも通り先輩が椅子に座って読書を―――してはおらず、
締め切った窓から数メートル先も見えない外を眺めていた。
「物凄い雨になっちゃいましたね」
先輩の背中に声を掛けると、先輩は苦りきった表情で振り返る。
「そうね。これじゃあ、傘があっても意味が無いわ」
「今日は降らないって予報だったんですけど」
僕は机の上に下ろしたカバンの中から、先輩の愛用しているティーカップと、紅茶のティーバッグを取り出す。
割と緩い校風のこの学校では、こういった物の持ち込みも許可されている。
その分成績を落とした生徒には厳しく、「入るは容易、出るには難し」とよく言われているようだ。
実力主義の高校なのだ。
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