32: ◆V0KrAyBMBI[saga]
2014/07/17(木) 22:38:34.02 ID:8zTtnP5s0
理由を知らない。
いや、そんな筈は無い。
嫌われるなら、相応の理由があって然るべきではないか?
大喧嘩したとか、何かやらかしたとか。
先輩は首を横に振る。
「……ある日突然だったから……。理由が分かれば、謝る事も出来るのだけど、それも出来ない」
「……先輩……」
「……もうやめましょう。不毛だわ、こんな話」
そう吐き捨てる。
もう随分長いこと悩んだのだろう。先輩の表情には、半分諦めの色が見えていた。
先輩の為にも何とかしたいが、そもそも妹さんと面識の無い僕には、到底無理な話だ。
歯がゆいが、今は様子見するしかないだろう。
「……ところで、―――君は実家には帰るのかしら?」
「え?いえ……」
完全に気持ちを切り替えたのか、そんな話を振ってくる。
先輩が家に居るなら行かない、なんて言うには些か照れくさい。
だが先輩は、そんな僕の内心を察したのか、「そう。そうなの」とやけに嬉しそうに笑う。
「じゃあ、私が一緒に行けば、行くのね?」
「……まぁ、そうですね」
いや、それは嬉しくはあるが、家族に紹介するのは恥ずかしい。
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