過去ログ - 響「はるかさん」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/06/29(日) 01:29:19.51 ID:nBNP/hFkO
その日の朝はいつもと大して変わらなかった。
出社時間の二時間前に起きて、退屈なニュース――確か、どこかの県のおえらいさん達がお金をこっそり盗ったとかそんなニュースだった気がする――を眺めながら、てきぱきと支度をする。
そんな自分を眺めるハム蔵たちの様子もどことなく退屈げに感じられた。
それから一時間足らずで支度や朝食なんかを済ませて、ゆったりと家を出る。
そういえばアイドルになりたての頃は毎朝トレーニングを兼ねて走って出社したりもしていたけど、いつからかすっかり乗り物を使うようになっちゃったなぁ。


3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:32:02.08 ID:nBNP/hFkO
それからバスを二本乗り継いで、765プロの事務所に到着した。
自分より前に数人のアイドルが到着してたけど、みんな軽く挨拶をした後は台本を読んだり新曲を聴き込んだりしていて忙しく、ただただ無言の空間が広がる。
その日の自分の仕事はグラビア撮影と雑誌のインタビューだったので、自分も軽く脳内でポージングやトークのイメージを固めていた。
765プロに所属するアイドルはみんな今や有名アイドルだ。特に千早と美希なんて、国外にも名を轟かせるほどの有名アイドル/アーティストになっている。もう、自分達には馴れ合うよりも先にすべき事が多すぎる。
そんな事は誰に言われなくても自分達が一番よく分かってるし、お互いの邪魔にならないよう、きちんと仕事とプライベートの線引きはできている。
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:32:40.19 ID:nBNP/hFkO
それから、自分たちはそれぞれの仕事に向かった。765プロはスタッフが少ないから送迎はタクシーで、現場での活動は基本的に自力で行う。
もうプロデューサーがずっと隣にいなくても、大抵の仕事はしっかりこなせるほどに自分達は成長していた。
だからその日の仕事も何の問題もなく済ませて、事務所に連絡を入れた後いつも通りに現場から直帰する……はずだった。


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2014/06/29(日) 01:35:55.79 ID:nBNP/hFkO
でもここからがいつもと違った所で、全ての始まりだったんだ。

この日、自分は疲れが溜まっていたのかバスの中で寝てしまった。
自分で言うのも何だけど、もう自分は有名人なんだからこういうところで無防備にしているのは危険だって分かっていたし、普段はもっと気を張っているんだけど……
とにかく降りるべき場所を通過してしまった自分はそのまま終点まで行ってしまい、運転手さんに揺り起こされた。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:36:36.95 ID:nBNP/hFkO
もうこんな反応にも慣れっこだ。
変装していても街中ではサインを求められることなんてままあるし、イヌ美の散歩に行くのですら変装しないといけないくらいだからね。
それはともかく、すぐにアイドルとしての自分モードに切り替えて、営業スマイルで応対した後バスを降りた。


7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:39:34.21 ID:nBNP/hFkO
幸いにもバッグの中身などは無事だったし、終点から自分の家もそう遠くない距離だったから徒歩で帰ることにする。
暗くなった街中では、数人とすれ違っても自分に気付く人はいない。

――ああ、夜中なら変装しなくてもばれないんだね。あんまり夜中に出歩くことなかったけど、今度からこれくらいの時間にイヌ美の散歩しようかな――

以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:40:28.71 ID:nBNP/hFkO
そこには薄暗い蛍光灯の明かりと、飛び回る羽虫の他には特に何もなかった。
自分は何となく安堵の溜息をつき、そのまま歩を進める。そうして地下道の中盤辺りに差し掛かったくらいだったかな。


突然地下道の壁から、にゅっ、と何かが顔を出した。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:42:24.58 ID:nBNP/hFkO
あまりに唐突な出来事に、自分は情けない悲鳴を上げて尻もちを着く。
壁から生えてきたそれは、そのままずるずると斜め上に伸びてくる。
やがて足首まで壁から出てきた所で、重力を無視するような斜めの体勢で止まったそれは、頭にリボンを付けた女の子だった。
状況が全く掴めず自分はただただ呆然としていたんだけど、数分経ってもその子が微動だにしないので意を決して話しかけてみることにした。


10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:43:33.56 ID:nBNP/hFkO

響「ね、ねえ君……」

返事はない。それどころか反応もないし、顔や視線をこちらに向けすらしない。

以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:44:57.42 ID:nBNP/hFkO
そんなしょうもないことを考えていると、自分はとんでもないことに気付いてしまった。

彼女の膝の所に、顔が付いていたのだ。

膝の方の顔はソフトボール大くらいで、頭に付いてる方の顔と全く同じ顔をしていた。そして、どういう仕組みなのかは全くわからないけどくるくる回っている。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/29(日) 01:48:59.08 ID:nBNP/hFkO
自分が恐怖で逃げるどころかその子から目を離すことすらできずにいると、後ろからカツカツとヒールの音がした。
慌てて振り向くと、自分のすぐ後ろにスーツ姿の女性がいた。
あの女の子に集中し過ぎて、まわりが全く見えてなかったらしい。
その女性は、まるで女の子が見えてないみたいにぶつからない場所を素通りして、そのまま地下道から出て行った。
自分はまたもや呆然としちゃったけど、とにかくここから離れようと思ってそろーりと壁から生えてる女の子の前を通り過ぎて、スーツ姿の女性を追いかけた。


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