過去ログ - 響「はるかさん」
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55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 00:16:22.75 ID:nozGYDr1O
それから三日間くらい、自分は初めて無断で仕事をサボった。
何をしていたわけでもない、ただあちこちをふらふらと歩き回っていただけだ。
そして自分は、あちこちにいるはるかさんに声を掛けた。手を振った。撫でようとしてみた。
でも彼女たちは自分に見向きもしないし、触れることも出来ない。
最初にはるかさんのことを教えてくれた女性の言うとおりだ。
以下略



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 00:18:15.06 ID:nozGYDr1O
そう考えて、ふと思った。
そういえばあの女性は、見ないふりした方がいいと『教えてくれた』。
基本は見ないふりをしていたとしても、最近自分が見た多くの人たちよりはよっぽどマシだ。
彼女にもう一度合って話したい。
そう思った自分は居ても立ってもいられなくなって、あの日の地下道へ駆け出していた。


57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 00:26:56.05 ID:nozGYDr1O

――ここだ。ここが、全ての始まり。
あの日この場所ではるかさんと出会ってから、何もかもがおかしくなっていったんだ。

響「……やあ、はるかさん。今日は、生えてる日だったんだね」
以下略



58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 00:52:24.15 ID:nozGYDr1O

突然響いた咎める声に、身を竦めながら振り向く。
そこには不機嫌そうな顔で腕を組み、仁王立ちしている少女がいた。

響「おで……伊織か。びっくりしたぞ」
以下略



59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 00:52:59.95 ID:nozGYDr1O

何だか、こんな状況でもいつもと変わらない伊織がおかしくてつい笑ってしまった。

伊織「……はぁ。何よ、思ったより元気そうじゃない。でも『そいつ』に話しかけるのはやめなさい。ましてや理解だなんて……ロクなことにならないわよ」

以下略



60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/07/20(日) 00:54:53.61 ID:VZOUrQEAO
>>37
気になって調べちゃったじゃないか…っ



61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 00:59:08.04 ID:nozGYDr1O

響「い、伊織ははるかさんを見ないふりしないの!?」

伊織「何言ってんのよ。普段は見ないふりしてるに決まってるじゃないそんな薄気味悪く笑ってる奴」

以下略



62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 01:02:40.97 ID:nozGYDr1O

響「痛ったー……」

伊織「この馬鹿、本当にしょうもない馬鹿ねアンタは!逆に聞きたいわよ、なんでこんな気持ち悪い奴のこと理解してあげようと思うのか……」

以下略



63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/07/20(日) 01:03:21.59 ID:a0/lRPGE0
ひびいお!ひびいお!


64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 01:03:45.35 ID:nozGYDr1O

伊織は溜息を吐いて自分の頭を軽く叩いた。

響「いてっ」

以下略



65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 01:29:01.16 ID:nozGYDr1O

伊織「……でもね、そんな顔してるやつを放っとけるほど薄情でもないわ、私は。だからちょっと着いて来なさい」

伊織は、そう言うと自分の手を握ってどこかへ歩き出した。

以下略



66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 01:30:52.94 ID:nozGYDr1O

それから伊織は何を尋ねても無視して歩き、黒光りするリムジンに乗り込む。
そしてあっという間に自分を水瀬家の敷地内に連れてきてしまった。

伊織「アレ、飛ばしてちょうだい」
以下略



67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 01:32:02.96 ID:nozGYDr1O

ジェット機の羽根が風を切り、滑るように空を飛ぶ。
そのうちに窓の外には日の光を浴びてきらきらとかがやく海や瑞々しく緑に光る森が見えてきた。

響「うわぁ……!」
以下略



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 01:37:22.49 ID:nozGYDr1O

響「う、嘘でしょ」

雲の隙間から見える見覚えのある笑い顔。
このジェット機より大きい……というか、もう東京ドームとかと比べるようなレベルの大きさのそれは紛れもなくはるかさんだった。
以下略



69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 01:38:25.69 ID:nozGYDr1O

響「そ、それってもしかして……」

伊織「ええ。確証はないけど、アイツに話しかけることはアイツを呼ぶことになるみたい。
もう分かったでしょ?少なくともアイツは、人間のことなんて何とも思っていない。
以下略



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 02:21:22.03 ID:PTn3k1tyO

―――
それから、自分は皆の所に行って真剣に謝った。
皆はやっぱり怒ってたけどそれは心配してくれてたからだってことがすごくよく分かって、自分は毎回嬉しくて泣いてしまった。
あと貴音だけど、相変わらずはるかさんについては絶対に何も言わない。
以下略



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 02:22:13.30 ID:PTn3k1tyO

はるかさんは、今でも確かに存在している。でも、自分には関係のないものなんだ。世界には見てはいけないもの、触れてはいけないものがたくさんあって、それはたとえどんなに納得がいかなくてもそういうものだと認めるしか無い。
はるかさんのおかげで、そのことを学べた。だから……ありがとう。そして、さようなら。はるかさん……



72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 02:23:00.64 ID:PTn3k1tyO

……あれから数ヶ月が経った。
今朝、鏡を見て気付いたんだけど、自分の首筋あたりに赤いリボンが付いている。
こんなアクセサリを買った覚えはないし、外そうとしてもその手はすり抜けてしまうばかりだった。
どうやら、真実に気付くのが遅すぎたみたい。自分はあの子に好かれてしまったんだ。ごめんね、貴音。守ろうとしてくれたのに。
以下略



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/20(日) 02:33:44.47 ID:PTn3k1tyO
以上です。
元ネタは谷山浩子さんの「まもるくん」という電波曲になります。是非聞いてみて下さい。
読んでくださった方、ありがとうございました。


74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/07/20(日) 02:35:43.87 ID:n8LqqrRh0
乙ー。
最後の方がぷちホラーだったな。



75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/20(日) 03:10:18.00 ID:bhW/pkv2O
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