50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:43:01.48 ID:Fl7+HnOB0
「あなた様?」
貴音の呼びかけに視線を前へ戻す。
「貴音」
51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:43:31.18 ID:Fl7+HnOB0
「どうして自分を隠そうとするんだ?」
「…あなた様、一体どういう…」
「不安…なんだろ…ほんとの自分を知られたらみんなが離れていくんじゃないかって」
52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:44:02.15 ID:Fl7+HnOB0
「友人をなくすんじゃないかって…」
貴音は何かを考えこんでいる。俺は言葉を待つ。
数十秒くらい間があった。
53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:44:36.93 ID:Fl7+HnOB0
「ああ、そうだな」
なんのことはない。ある仮説に基づけば出来事にも説明がつくのだ。
仮説、それは貴音の葛藤だ。こいつのキャラ路線は特殊だ。
54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:45:38.63 ID:Fl7+HnOB0
メディアの言うとおりに振舞おうと意識すればするほどキャラの迷宮に迷いこむパラドックス。
仲間内でも本当の自分を出せば自信の持つ神秘性が失われてしまうのではないか。
そんな恐れがあった。
55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:46:37.68 ID:Fl7+HnOB0
「あの言葉をかけられた時は、自分の価値が分からなくなりました」
貴音はゆっくりと頷く。
俺もあれは鮮明に思い出すことができる。
56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:48:21.91 ID:Fl7+HnOB0
自分のことをありのまま話せば親しみやすくなるが、持っていた神秘性は失われる。
そのジレンマで貴音は苦しんでいたのだ。
「なぁ貴音、割り切ってみたらどうだ」
57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:48:55.46 ID:Fl7+HnOB0
「アイドルってのは偶像なんだ。 ファンを楽しませるための虚像だ。だからプライベートと違っててもいいんだよ」
「しかし、皆がなんというか……」
貴音の表情が雲る。背中を押してやるのが今の俺の仕事だ。
58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:49:39.41 ID:Fl7+HnOB0
「なぁ貴音」
二十郎からの帰り道俺は聞いた。
「なんでしょう?」
59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:50:46.39 ID:Fl7+HnOB0
俺がそういうと貴音は顔を赤らめ頷いた。
この様子だと押入れの中の服もコスプレだったりしてな。
あまりいじるのもなんなのでそれは聞かないでおこう。
60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/07/09(水) 11:51:36.18 ID:Fl7+HnOB0
「プロデューサー、一体何をしたんですか?」
律子が悪戯っぽく笑いかけてきた。
「すこし言葉をかけただけだよ」
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