過去ログ - 阿良々木暦「かなこエレファント」
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/09(水) 18:39:48.16 ID:HorbTFBDO
002
総じて、日本におけるスイーツの立ち位置は『女の子の好物』である傾向にある、と思う。
「それで、私を増やしてどうしようと言うのかしら」
「いや、どうしようもこうしようもないんだが……」
なんでもイタリア辺りではスイーツは男の食べるもの、という認識の方が強いらしい。
「そんなに私が大勢いた方がいいみたいね。愛されているようでとても嬉しいわ」
「僕も喜んでくれているようでとても嬉しいよ」
何処でその差異が形作られたのかは知る由もないが、喫茶店やケーキ専門店において女子の割合が高いのは事実である。
「そこまで求められているのなら、階段で亀を踏みまくるべきかしら」
「お前は髭の配管工か!」
今、僕とひたぎがいるケーキ専門店もそうだ。
カップルは数組いるものの、男性の二人組や一人で来ている客は一人もいない。
男一人でケーキ屋に入る、という行為自体がかなり勇気のいるものだと自然に思ってしまうあたりが、この国における男性とスイーツの関係性を顕著に表していると言えるだろう。
それはさておき僕の目の前にいるひたぎさんは、どうやら多分にご機嫌らしい。
チーズケーキを口に含み、口元を緩ませるその表情を見れただけでも誘った甲斐があったというものだ。
先日の三村たちの会話を受け、思い立ったが吉日、と先人の言葉にあやかり、オフを利用してひたぎをケーキバイキングに誘ったのだった。
ちなみに先程からひたぎが言っている増えるという表現は、三村に対しても使ったが女の子は太らない、増えるのよ、というひたぎの言に基づくものである。
だが実際にひたぎが何人と増えられても困る。
一人ですら未だに手に負えないというのに、だ。
それに本当に増えるわけないだろう、なんて言った次の季節には分身の術くらい身に着けて来そうなあたりが戦場ヶ原ひたぎという女の恐ろしいところでもある。
「ところで、誘ってくれたのは嬉しいのだけれど、何故いきなりこんな催しを思い付いたのかしら」
「ああ、昨日アイドルたちがケーキの話をしていたからな、僕も食べたくなったんだ」
これは嘘と真実が半々といったところだ。
実際には久し振りにひたぎに会いたかった、という側面の方が遥かに強いのだが、そんなことを言った日には主導権を丸一日どころか向こう半年くらいは握られそうだ。
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