過去ログ - 琴石なる17歳「先生が島に帰って来ました」【ばらかもん】
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5: ◆Sw0r5AFPRM[saga]
2014/07/10(木) 18:54:06.90 ID:jHnrlzaQ0

 あの時かもしれない。本当に、先生のことが『好き』だと思ったのは。
 
 出会ってからずっと、先生のことを大好きだと思ってたし、何度もそう言ってた。けれど、それは学校の先生を好きだと言うのと同じように、身近に居る『大人』への憧れでもあったから。勿論、先生に感じていた好きも、それと同じだと思ってた。

 けれど、いつからかな。先生のことを、それとは違う『好き』で思っていたのは。
 境目はよく分からない。気がついたら、かな。気がついたら、先生のことを、『好き』になってた。
 でも、多分それはわたしだけじゃ無いと思う。多分、あの時わたしよりもずっと大人だった美和ネェも、タマも、それに、ヒナも、みんな先生のことを『好き』だったんだ思う。
 多分、身近に居る大人の人の中で、誰よりも(好きなことには)まっすぐで、誰よりも(ネガティブな方向には)ひたすら子供で、そんな先生だからこそ、あそこまで愛されていたんだなぁと。

 あれから十年かぁ……。

 わたしは高校二年生。あの時のヒロシみたいに、この先の進路を学校の先生が定期的に聞かれるような年になっている。
 けど、まだ自分が何をやりたいのか、わたしには全然分からない。勿論、この先の進路はじいちゃんの後を継いで、農作業に精を出す一日を過ごすと思うけど、じいちゃんは『オィはまだ元気だから、なるはなるで好いとることばしたらよか』と言う。
 畑の仕事は嫌いじゃないし、むしろ好き。けれど、やりたいこと、と言われると、どうも頭の中がこんがらがってしまう。そして、いつもぐにゃぐにゃして黒くなった綿飴の最後に、先生の顔が浮かんで来る。
 
 こいは一体なんねと思うけれども、やっぱり、自分の行く先は見えて来ないのが悩み所。


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