過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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[saga]
2014/07/24(木) 23:48:58.31 ID:eB1pESsT0
レッドが案内されたエリカ宅は、見たこともないような和の邸宅だった。庭だけでレッドの家の敷地の何倍あるかわからない。
多くの使用人がレッドとエリカを出迎え、客室に案内されたレッドはそわそわと最初は落ち着かなかったが、部屋から見える庭でのんびりと過ごす草ポケモン達を見ていくらか和んだ。
程なくエリカが部屋に来て、夕食をそのまま二人で馳走になった後、エリカから今日の話を切りだした。
「あのポケモントレーナー、サカキについてお話します。彼はかつて、カントー地方で"大地のサカキ"と恐れられた伝説のポケモントレーナーです。当時はカントー最強の呼び声高く、ポケモンリーグ優勝も時間の問題と言う人もいたほど。しかし彼は何の前触れもなく、表の世界から姿を消しました」
レッドは戦慄したが、しかし驚きはなかった。あれほどの実力者が世に知られていないはずがない。
「私がロケットゲームコーナーの最深部に到着した時、彼と対戦になりました。……結果は、言うまでもありません」
「エリカさん……」
エリカの顔は沈鬱だ。レッドは声をかけるが、あまり彼女を慰める有用な言葉が思いつかない。
それでもエリカは顔を上げ、レッドへ笑顔を向ける。
「本当のタマムシの英雄はレッドさんです。サカキを退け、私を助けてくれました。あなたには、ジムリーダーが認めたこのバッジを……」
レッドが信じられないような目をしながらエリカを止める。
「ま、待ってエリカさん。俺はまだ、エリカさんと直接バトルをしてない。気持ちは嬉しいけど、今まで正規の方法で手に入れてきたし、これじゃあ他のジムバッジを目指すトレーナーに申し訳が立たないよ……」
「しかし……」
なおも渋るエリカに、今度はレッドが優しくエリカの手を取る。
「俺にとって一番のお礼は、エリカさんがまた元気な姿で元のジムリーダーに戻ることだよ。俺に協力できることがあったら、なんでもするから」
「あ…………」
エリカはしばしポカンとしていたが、すぐに穏やかな笑みを作りレッドの手を優しく握り返す。
「本当に見違えました。あなたに教授した身として、恥ずかしい姿は見せられませんね。わかりました。このジムバッジは、また改めて」
「はい」
あとは他愛無い雑談に変わり、夜も更けたためレッドは来客用の寝室に案内された。
「さて……寝るかな」
レッドは厠から縁側を通って寝室に向かっていた。月が綺麗な夜空、庭にはポケモンの寝息が聞こえてくる。
(ん……エリカさん?)
庭にエリカがクサイハナを伴って立っている。
(……え?)
心配そうにエリカを見上げるクサイハナ、エリカはモンスターボールを握った手を、目を細め口を一文字に結んで見つめている。
声をかけられるような雰囲気に見えない。レッドは寝室に戻ったあと目を瞑ったが、どうにも寝れなかった。
庭で見たエリカの表情が、何故か忘れられない。
(なにか、心配事でもあったのだろうか)
明日、機会があったら聞いてみようか。そんなことを考えていたが、レッドも昼間の緊張感が切れたのか、久々の暖かい布団の中で深い眠りについた。
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