過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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256:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/03(日) 23:21:53.25 ID:cwKbWwke0
「あんなちちうえ、初めて見る……」

「いいんじゃない? こういう暑苦しいのも、ポケモンバトルでしょ」

「バナぁ!!」

「ベトォ!」

 異種ガチンコファイトはお互いのずつきが炸裂し、両者倒れてゴングが鳴った。

 そして、ふらつきながら立ち上がったのは……。

『ベトベトン戦闘不能! 勝者、挑戦者レッド!』

「見事小童。いや、マサラタウンのレッド!」

「こちらこそ。いい戦いができて、本当に嬉しかったです」

 キョウとレッドが近づき、笑顔で握手する。しかしすぐにキョウは手を離し、レッドに背を向けて歩き出した。

「そら! ピンクバッジを受け取れ!」

「おっと」

 キョウはレッドを見ずにピンクバッジを放り投げる。バッジはレッドの手元へ寸分の狂いなく収まった。

「ち、ちちうえ。どこへ……」

「ナツメ、戻ってポケモン協会へ伝えろ。本日を持って、キョウはジムリーダー代理として、娘アンズを指名する。キョウは今任期を持って退任し、後任にはアンズを推薦するとな!」

「ちょ、ちょっと。いきなりどこへ行くつもり!?」

 ナツメも慌ててキョウに叫ぶ。しかしキョウは気にせず自分の言いたいことをぶちまける。

「アンズよ。迷うことあれば今日(こんにち)のバトルを思い出せ。お前の実力は父が認める!」

「は、はい!」

「レッドよ。年甲斐もなく拙者を熱くさせてくれたな。拙者にとってジムリーダーは終着ではないと、錯覚してしまったではないか!」

 キョウは怒りながら笑っているようだった。

「ファファ! まずは手始めにサイクリングロードのトレーナーに片っ端から挑んでくるとするか。さらばだレッド! 高みでな!」

「……はい!」

 アンズとナツメはキョウの突然の変貌ぶりにキョトンとしていたが、レッドはその背中を逞しく思っていた。

(今、サイクリングロードの"トレーナー"って……。……高みか)

 また一つ、約束が増えた。しかし、嬉しさしかない。

「えっと、じゃあアンズ? その、ジムのギミックの監修いいかしら。バリヤードで見えない壁の点検するから、図面見せてもらっていいかしら?」

「え、あ、はい! こちらです! ええと、どこに置いてたっけちちうえ……」

 どうやらアンズの初仕事は、やけに事務的なことから始まったようだ。

 レッドはその様子を微笑んで見守りながら、ピンクバッジを胸元に取り付けた。


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