過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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413:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/21(日) 18:19:19.28 ID:Z03kpI3k0
「しびれごな!」

 そしてエリカから学んだ草ポケモン特有の戦術。例え弱点が多くても五分以上に戦える術がレッドとフシギバナにはある。

「みがわり!」 

「れいとうっ……ちいっ!」

 ラプラスがしびれて動けず、グリーンが舌を鳴らした。

「はっぱカッター!!」

「れいとうビーム!!」

 れいとうビームがフシギバナのみがわりを破壊すると同時に、れいとうビームを避けるように曲線を描いたはっぱカッターがラプラスに直撃する。ラプラスの甲羅がない頭から首を正確に撃ちぬき、ラプラスが頭を垂れて動かなくなった。

 5体3。

「ストライクゥウ!!」

 グリーンが苛立った声を隠さずにストライクを繰り出す。観客は挑戦者の奮戦ぶりに熱気と期待を膨らませていく。

「レッドォ頑張れ!! 勝てるわよお!!」

 観客でカスミのような声援を送るような人物は多くいた。カスミの隣で戦況を見つめるタケシもまた、レッドの有利な展開に対して頬がゆるむ。

 しかしレッド、そしてグリーンの並外れた実力を知る者、観客席のフジ老人とナツメだけは反応が違った。

(彼の実力、これだけではなかろう)

(気をつけて……レッドっ)

(なんだっ。何を狙っている!?)

 レッドの心に浮かぶは焦燥と不安。グリーンの強さをよく知っているつもりのレッドからすれば、この戦いぶりにはグリーンの意図を感じてならない。

 苛立った様子を隠そうともしないグリーン。レッドは演技にしか見えない。まるでレッドに勝利への期待を抱かせた上で叩き落とす算段があり、手持ちの数体の犠牲と観客達の新たなチャンピオンの誕生を願う雰囲気諸々全てをベールに、グリーン自身が狙う勝ち筋を包み隠しているように見えて仕方がない。

 レッドが争ってきたグリーンとは、そういう人間なのだ。

「しびれごな!」

「きりさく!」

 ストライクがフシギバナへ肉迫すると同時にフシギバナはしびれごなを散布する。ストライクの鎌はフシギバナの頬を掠めるにとどまり、レッドはすぐにフシギバナをラッタに交換した。

「ひっさつまえば!」 

「きりさく!」

 ラッタの前歯とストライクの鎌が激突する。しかししびれごなを受けたストライクは手数で押され、羽を使い距離をとろうとした所でラッタのでんこうせっかに吹き飛ばされた。

 これで5対2。

「ゲンガー!」

 グリーンの苦虫を潰した表情は変わらない。ゲンガーに対して攻撃する術がないラッタはゲンガーのサイコキネシスをなんとか耐えると、レッドの元へ舞い戻りバタフリーと交代する。

「バタフリー、サイコキネシス!」

 ゲンガーとバタフリーのサイコキネシスの激突。紫色のねんりきがバチバチと音を立てて空間を歪ませるが、毒タイプを持つゲンガーは時間が立つにつれ根負けした。

 グリーンは倒れたゲンガーを戻す。レッドはバタフリーを傍らに、無言だった。

「……」

「……」

 表示だけなら5対1。しかしレッドは自身が勝利間近だとも、グリーンが弱くなっているなどとも微塵も思っていなかった。

 レッドの脳裏に強烈に焼き付いている光景、シルフカンパニーでロケット団員の数多のポケモンを薙ぎ払ったであろうグリーンの相棒。

 その一体が出てきた時、一体どうしたら勝てるのか。レッドの頭の中で最適解が一切浮かばない。その焦りがレッドの額から頬へ一筋の冷や汗として流れ、グリーンの片方の口端を吊り上げさせた。

「リザードン、ショータイムだ!」


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