過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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415:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/21(日) 18:34:22.95 ID:Z03kpI3k0
(……まだだ!)

 レッドの闘志は尽きていない。しかし、ため息に変わった会場の雰囲気をレッドは察していた。

「……行け、ガラガラ!」

(最後まで、足掻いてみせる。恥かしくない戦いをしてみせる! 例え勝利できなくても……!!)

「ガラガラ、じしん!」

 ガラガラは滞空するリザードンに目もくれずホネこんぼうを大地に突き刺して大地を脈動させる。

(レッドとガラガラの目、血迷ったわけではなさそうだ。なにをする気だ?)

 グリーンはすぐに答えを得た。ガラガラが起こした地震によってバトルフィールドが所々ひび割れ、大きく柱上に隆起し即席の岩場と化す。

 ガラガラはすぐに身を岩場に隠した。隙を伺い奇襲するつもりだろう。

「なるほど、確かに北風ならまどうところだ。だがリザードンは太陽にもなれる! ほのおのうず!」

 リザードンが放った炎は岩場の間をぬうように進み、地上そのものの温度を急上昇させる。たまらずガラガラが灼熱の地上を避けようと岩を駆け上がった。

「大文字!」

 ガラガラは岩場の上で勇敢にホネこんぼうを構えたが、グリーンは付き合わずに大文字で薙ぎ払った。

 スクリーンに表示される2-1のスコア。

「戻れ……ガラガラ。行け、ラッタ!」

 会場の空気、グリーンの確信、レッドの尽きかけている心の炎。全てを理解していながらラッタはリザードンへ駆け出していく。

「ラッタ、ひっさつまえば!」

 レッドが声を飛ばす。ラッタは岩場を高速移動で飛び跳ねながらリザードンへと距離を詰める。その鬼気迫る猛進が生む一つの奇跡。リザードンがラッタを捉えきれず姿を見失った。

「後ろだリザードン!! かえんほうしゃ!」

 初めてグリーンの怒号が飛ぶ。ラッタは岩場を影にしながらリザードンへと飛び上がり、ひっさつまえばを食らわさんとリザードンへと肉迫する。

 しかしリザードンの口から吐出される炎の方が早かった。ラッタの体を炎が包む。しかし、ラッタの勢いは止まらない。リザードンの炎がラッタの根性に火を付け、ひっさつまえばがリザードンの首に炸裂する。

「グォ……!」

 リザードンが一瞬呻く。が、リザードンはそのまま着地して戦闘続行可能であることを会場に見せつける。対してラッタは技を放ったまま空中で気を失い、地面に激突する前にレッドがリターンレーザーを当てた。

 レッドの頬に、一筋の涙が伝う。

(なんて根性だラッタ……。俺の命令以上のことをお前は……。ありがとう)

 レッドはフシギバナが入っている最後のモンスターボールを掴む。

 グリーンの圧倒的な力、ポケモンとの呼吸、トレーナーとしての強さ、やっぱりグリーンの方がつよい。

 諦めたくない。だが、レッドは力の差を確信してしまっていた。

「行け、フシギバナ」

 スコアに刻まれる1対1。

 レッドはもう、勝ちを望んでいない。フシギバナを呼んで一度振り返らせて、目を合わせた。

(いい戦意だフシギバナ。わかった。最後まで付き合う)

「さあフシギバナ……フシギバナ?」


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