過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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416:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/21(日) 18:37:39.70 ID:Z03kpI3k0
 フシギバナはリザードンへ向き直ると、雄叫びを上げた。まるで勝利を諦めたレッドを奮い立たせるように。

 いや、間違いなくそのための雄叫びだった。レッドはそう確信しながらも、体の中の炎が燃え上がらない。

(フシギバナ……。いいんだ。お前たちはよくやってくれた。かつて泣き虫だった俺にとって、身に不相応のたくさんの栄光と絆をもたらしてくれた。俺はもうこれ以上、なにもいらな)

 本当に?

「…………え」

 フシギバナがリザードンへ駆け出していく。その背中が、音のない言葉をレッドへ向ける。世界がレッドとフシギバナだけになったように、時がとまる。



『本当に、もうなにもいらないのか』


(俺は……、俺がここまで来れたのは、皆がいたからだ。皆がいなければ、俺はなにも為すことができなかった! 俺自身の力なんて一体どれだけ役に立ったか……!)


『馬鹿言うなよ。相棒!』



(……!!)



 レッドの心に扉が開く。後は、進むだけ。



「レッドさん!!」



「……!」




 歓声の中確かに聞こえた、聞き間違うはずのない声。レッドの背中を押す、最後のピース。

 全身にほとばしる激情、相棒とともに今一度前へ。



(ああそうだな、フシギバナ)




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