2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/13(日) 23:05:56.87 ID:KqjMiQVT0
程なくして信号に捕まる。連なる車のテールランプが雨に乱反射して、どこか幻想的な雰囲気を醸していた。
意味も無くざわつく心中を抑え込もうとしたのか、俺の手は無意識に懐に伸び、手のひら大の箱を取り出す。
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2014/07/13(日) 23:07:03.30 ID:KqjMiQVT0
「悪いな、歌鈴」
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2014/07/13(日) 23:08:11.09 ID:KqjMiQVT0
歌鈴もそうなのかもしれない。長く仕事を共だって来た俺とはいえ、年若い女性が男の前でこんなにも無防備な寝姿を曝け出すだろうか。歌鈴は俺だから安心して睡眠に身を没しているのではないだろうか。
信頼、してくれているんだろうか?
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/13(日) 23:09:06.71 ID:KqjMiQVT0
「ふぇ…!?」
さほどでもないけれど、慣性が身体に圧し掛かった。軽々としたもんだが、全体重を無防備に座席にあずけていた歌鈴には効果が大きかったみたいだ。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/13(日) 23:10:10.27 ID:KqjMiQVT0
「目が覚めちゃいました…」
「なら起きていればいい」
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/13(日) 23:11:13.93 ID:KqjMiQVT0
「運転中に横を向くとあぶないですよ?」
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/13(日) 23:12:16.76 ID:KqjMiQVT0
初めての給料で買った腕時計。決していいものではない。だけど、歌鈴に関わったお金で買った、俺にとってはとても意味のある物なんだ。
でも、そんな安物の腕時計に視線を投げかけたって、俺の欲している答えなんかある訳がないのに。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/13(日) 23:13:39.37 ID:KqjMiQVT0
「もうすぐ寮に着くから」
「…」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/13(日) 23:14:57.77 ID:KqjMiQVT0
「だって、藍子ちゃんとお話ししている時は… Pさんずーっと笑顔ですもん」
「…歌鈴とだってそうだろ」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/13(日) 23:16:15.25 ID:KqjMiQVT0
「Pさんは優しい人だってしってます」
「…ありがとう」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/13(日) 23:17:03.67 ID:KqjMiQVT0
「それは絶対に無い…!」
頭の中が急速に熱を帯びていくのがわかった。嫌いではない、本当だ。嫌いだったら何年も一緒に仕事もしないし、雨だからって態々寮まで送ってやる事も無い。
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