過去ログ - 先輩「そこから見えるのは、どんな景色ですか?」
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:20:12.27 ID:8oJAdiKmo



 大澤の様子がおかしくなりだしたのは、文化祭が終わって二週間が過ぎた頃のことだった。
 
 文化祭で配布した文芸部の部誌の評判は上々で、クラスメイトたちも結構読んでくれたらしかった。
 わりと意外な結果だ。文芸部の部誌なんかに目を通す奴が、そんなに多いとは思わなかった。

 これは内容というより、手にとりやすさ、見やすさに配慮したレイアウトがよかったのだと思う。
 そのあたりの出来は、部誌の編集を担当した当時の部長、ひなた先輩の功績だ。

 よそがどうかは知らないが、うちの文芸部員はわりと面白い話を書く。

 今年の部誌に寄せて、ひなた先輩が書いたのは二本の短編小説だった。
 片方は、ストーリーは薄味だが文章そのもののリズムを楽しむような軽妙なノリの青春小説。

 ……あるいは青春小説と呼ぶのすら間違いかもしれない。始まりが終わりまで続くような話だった。
 終わりさえも、ただぶった切られただけかのような、ただ連綿と続く予感だけを残した話。

 もう片方はもの寂しい雰囲気のある話。
 叙情的な描写を抑制の効いた語り口で最後まで丁寧に書いている印象だった。

 二本の短編はそれぞれがそれぞれに対応する形になっていて、よく見ると徹底した対比構造が覗き見える。
 どちらかがどちらかの内容を否定するわけでもなく、独立しながら、別々の物語のあり方を示していた。



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