過去ログ - 先輩「そこから見えるのは、どんな景色ですか?」
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:21:45.54 ID:8oJAdiKmo


「みさと」が書いたのは絵本のようなほのぼのとした雰囲気の話だ。
 特に面白がる要素もないのに気付くと読み終わっていて、さらりとした読後感がある。 

 面白いのが台詞回しで、「些細なこと」と「重大なこと」がほとんど同じような重さを持つかのように語られていた。
 その危うげな平衡感覚が、薄氷の上を歩くような緊張感を生んでいて、起伏のない話なのに妙なスリルがある。
 それが処女作だというのだから、感心したこっちが救われない。

「あかね」と幽霊部員ふたりはやる気のない川柳を一本ずつ。
 ひなた先輩は彼女たちの作品を部誌のいちばん最初に配置した。 
 去年も似たようなことをやっていたから、たぶんわざとだろう。

 そんなわけで、俺以外の部員はだいたい、「面白かったよ」という声をクラスメイトなり誰なりに掛けてもらえたみたいだった。

 ちなみに俺がもらった感想は「ながい」の一言だけだった。
 
 そんな中、「面白い話を書く」奴の筆頭が大澤で、部誌の厚みの大半は彼が書いた何本ものショートショートが作り出したものだ。
 切なかったり怖かったり寂しげだったり優しかったり、大澤の話はいつだってよく出来ている。
 短くて小難しく、ややこしくて面倒な描写も少ないから、とっつきやすい。
 
 部誌の半分くらいがそのノリなのが、全体としての評判が良かった理由だろうと思う。

 そして実際、けっこうな数の生徒が大澤に直接「おもしろかった」と伝えていたようだった。
 たぶん、それが原因で落ち込んでるんじゃないかと思う。



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