過去ログ - 先輩「そこから見えるのは、どんな景色ですか?」
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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 00:29:25.12 ID:8oJAdiKmo



 彼女が部誌に寄せたのは一本の掌編小説だった。
 あるいは小説と呼ぶのは間違いかもしれない。散文詩とでも呼ぶべきかもしれない。

 主人公である「わたし」は「庭」にいる。
 光る木々の庭。 

 その庭では、「子どもたち」が遊んでいる。
 錆びた廃バスの秘密基地、柱に蔦の絡まった、古い西洋風の東屋、涸れた噴水に投げ込まれた鈍色のコイン。
 魚のいない池と、鮮やかな緑の苔に覆われた地面。すり減ったペーブメント。粉々に砕けた鏡の破片。
 
 森に囲まれた、木洩れ陽の庭園。
 風が吹くたびに、枝葉の隙間から覗く空の光が揺らいで、きらきら輝いているように見える。
 そんな景色がずっと続いているのだ。

 白い服を着た「わたし」はその庭の「子どもたち」の一員だった。
 
 そこでは何をするのも自由だった。
「子どもたち」に何かを強いる者も、「子どもたち」をどこかに導く者も、そこにはいない。



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