過去ログ - 【安価&コンマ】新たな魔法使いが生まれた【仮面ライダーウィザード】
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420: ◆aGwfZTc7eA[sage]
2014/08/28(木) 00:09:17.17 ID:IrwzK68k0
「――ふぅっ」

テントの片づけを終え、リュックからホルダー付の警棒を取りだし、ベルトの左脇に差し込む。
SSLに入社して初めての任務で先輩から渡された丈夫かつ軽い、特別製だ。 
――"当たり所及びタイミングが悪ければ、死んじゃうかも!" なんて言われて渡された品物だけれども、
守屋はこの警棒をずっと使っていた、理由と言えば扱いやすいぐらいだが、何だかんだで愛着が湧いたのである。
警棒の他にはコンパスを取りだし、直ぐに取り出させるようGパンの右ポケットに入れる。
後は、纏めたテント用具と寝袋をリュックに入れて……終了。 

「先峰さん、お待たせしました」
「お疲れ様〜、この後どうするんでしたっけ?」
「ええ、一先ずは休憩を含めて、3時間ほどの探索を行います。 目的は、住民が居た場合にクルーザーを反転させる為の協力を要望、
断られたり、住民が居なかった場合は、目印を付けつつ下山します。 よろしいですか?」
「ん、大丈夫。 こんな所でゴネる我が儘女じゃなくてよ?」
「ははっ、其れでは出発しましょう」

先峰はボストンバッグと、その逆側に水筒二つを担ぎ。 守屋はキャンプ用具が入ったリュックを背負い、其処からクーラーボックス二つを
×状に担ぐ、此れだけでかなりの重量だが、弱音は吐かない、SSLの経歴を含み、昔から体を鍛えてきた自負と、女性には辛い、
重い物を持っての長時間の徒歩をさせたくないと言う気遣いから。 二人は、ある程度道が平らかつ、勾配が緩やかな坂を下りていく。
――そんな二人の背中を、何者かが遠目から見ていた。

「あれが侵入者共か……つまらんな、"ゲート"でもなければ、強者でもないとは」

その者は木の上で、太めの枝に寝転がる。 ただし"人間"ではなかった。
人間と同じ様に五体を持ってはいるが、素肌が垣間見える部分は黒ずんでおり、四本の指しかない手足には鋭く伸びた爪、
しかし"服"を着ている、現代の物ではない、鈴懸と呼ばれる手首から足首まである黒い法衣に身を包み、
首からは結袈裟と呼ばれる物を掛け下げ、腰に巻いた螺能と呼ばれる黄色い紐、その右腰には網目状の紐に入れた法螺貝が繋がれている。
"山伏"こう呼ばれる者達にこの"怪物"が来ている服装は似ている。 黒い羽毛に覆われた顔は、鋭い嘴を持ち、切れ長く蒼い両目、
もっとも特徴的なのは、この二点以外が赤い"面"に覆われている様に見える事だ。 此れは、この"怪物"の名前が関係している。
――この怪物の名は"カラステング"。 伝説上の生物としてとして今も伝わる其の名を、"カラステング"は生まれた時から持っているのだ。

「"木偶"にでもやらせるか、奴でもあの程度ならば直ぐに終わらせるだろうて」

そう言うと、カラステングは法螺貝を手に取り、口に当て、吹く。 覚え込ませるのには苦労したが、
木偶には三つのリズムを刻ませた、今吹くのは、侵入者発見の合図、自分と木偶と、あともう一人、この"地帯"にて、
自分たちに与えられた"警邏"と言う役割を円滑に運ぶ為の合図だ。 其れともう一つ。

「――行って来い」

カラステングは懐から幾つかの"種"を放り投げ、もう一度法螺貝に口を当て、吹く。
今度は……"援軍"を送ったと言う合図を送って、カラステングは起こした上体を下し、空を見る。
眠る気にはなれない、幾ら木偶とて、遅れをとる様な事はないと思いつつ、カラステングはとある期待をしていた。

「(強者よ、現れろ……此処は退屈だ)」

そう思い、今度は取り出した二つの紙切れを風に流した。 
風に流されゆく紙切れは、カラステングが遠目の状況を知る為の手段の一つ。
自身は……横になりつつ、状況を見守る。


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