過去ログ - 【安価&コンマ】新たな魔法使いが生まれた【仮面ライダーウィザード】
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◆aGwfZTc7eA
[saga sage]
2014/09/11(木) 23:56:54.09 ID:5TbzvB9I0
守屋の先導の元、二人はペースを維持し、息を整えつつ歩いていく。 ふと、背後へ視線をやる事もあるが、怪物達の姿は見えず、気配も無い。
だが、守屋はどうしても不安が拭い切れなかった。 どうにも、"何かに見られている"と言う感覚があり、こうして歩いていても視線が揺れる。
この感覚が全くの間違いであれば良いのに――守屋はそう願わずにいられなかった。
「守屋さん、どうかしたの?」
「――っ!?」
突然の先峰の問いかけにドキリとする守屋。 しかし先峰には言えない、不安で、怖い等と口が裂けても言える筈が無い。
始まりはSSLの先輩方から教わり、果ては警備派遣の仕事の経験上から学んできた事だが、警備対象者の安全を守る者が
対象者に不安を見せる事は好ましくない。 その不安は対象者に伝わり、思わぬ出来事に繋がる事もある。
今の守屋には即座に出せる適切な答えは思いつかないが、こう言う場合は……先峰を不安にさせぬ様に"本当を半分、嘘を半分交えた答え方だ"。
嘘を交えるのは心苦しいが、全ては先峰の安全を守る為と守屋は割り切って、あくまで自然な返し方をしようとし振り返った所。
――"三本の指に上唇を摘ままれた"。 驚き、即座に先峰を見れば……悪戯が成功した子供の様に、否、"笑いを堪えている"。
「な、何をするんですか先峰さん?」
「ふふっ、何かお顔が難しそうに固まってたから解そうとブフフゥッ!」
守屋が戸惑いながら問いかければ、先峰は耐えきれず吹き出す始末、流石に少しムッと来て守屋は顔を振る事で振り離した。
「解そうじゃないですよ、全くもうっ」
「ごめんなさい、でもさ、一人で背負いこむ事ないですよ。」
「えっ!?」
その瞬間、守屋は先峰に先程までの自分の思考を見透かされていたと感じた。
そして思う、一見してふざけていた様な行動は、自分を励ましていたのか?
――まだまだ、精進が足りないと、守屋は心底痛感した。
「私が言う事じゃあ……うん、上手く言葉に出来ないけど頑張ろう! 生きて帰りましょうよ守屋さん!」
「さ、先峰さ――ん」
「ええっ、もう守屋さん涙ぐまないでよぉっ! 此処は一緒におおーっ! ってやる所でしょう!?」
「す、すいま――っ?」
涙が溜まり視界が良好ではない守屋、だが、彼の経験がそうさせたのか? ほんの少し、視線を上に上げたのだ。
其れが、幸運だったのだ――完璧ではないにしろ、"刀らしき物を構え、此方へ飛びながら迫る翼を持った影"を捉えられたのだから。
「伏せてぇぇっ!!」
「っ!?」
そんな状況から、出来る限り伝える様に叫ぶまでの時間は1秒あるかないか。 突然の守屋の叫びに先峰は問いかけるよりも、
頭を抱えて伏せる事を優先した、しかし、此れで安全とは言えない。 守屋は急いで先峰を抱き、横へ跳んだ。
地に落下する二人だが、二人とも急いで体勢を立て直し、突然の襲撃者が刀を振り切った先を見た。
――其処にいたのは巨大な緑の巨人でも無い、似たような外見をした灰色の怪人でもない、"別の怪物"だ。
「ど、どうしようか守屋さん……こ、今度は天狗さんだよ?」
「参りましたね、どう――うっ!?」
「守屋さんっ!?」
守屋が突然左腕を抑えた、先峰が確認すれば、左腕を浅くはあるが斬られている。 其れを確認した先峰の行動は速かった。
少し離れた木の上の枝に止まりつつ此方を見据える怪物から、"目を離し"ボストンバッグの裁縫箱からとても切れ味の良い鋏を取りだし、
Yシャツの左胸部から左腹部までの生地を即座に切り出し守屋の浅く斬られた腕に回し、血が出ぬ様にきつく縛った。
「うぅっ!?」
「あ、ごめんなさい大丈夫!?」
「だ、大丈夫ですっ! ありがとうございますっ!」
「くくくくくくくくくくくくっ、あははははははははははははははははっ!!」
突然、二人を見据えたまま微動だにしなかった怪物が、大口開けて笑い出した。
右手に構えた長刀、左手に構えた小太刀が、大笑いによって僅かに震える体から振動が伝わり、切っ先が震えている。
――守屋は見た、左の小太刀から赤い水滴が飛び散ったのを、あれで……斬られたのだと、嫌でも理解できた。
普通ならば何がおかしいと問いかける所だが、守屋は積りに積もった疑問を、ぶつけて見る事にした。
「貴方たちは一体なんなんだ! 人間じゃないのかぁぁっ!!」
「ふふふふふふふふふふっ、くくくくくくくくくくくくくくはははははははははっ!!」
「――大口開けて笑ってないで、答えなさい天狗さん!! 焼き鳥に……出来たら、いいな?」
「先峰さん。 そ、其処は言い切る所じゃないでしょうか?」
「――い、良いの!! 美味しそうじゃないし、出来そうにないもん!!」
天狗――カラステングはこれ以上にないくらい口を開けて笑う。
其れは10秒、20秒、1分と続き……なおも、止まらない。この不可思議な状況に、二人は顔を見合わせ、首をかしげた。
その直後そんな二人があまり聞きたく無かった声が、辺りに響き渡る。
「あ〜〜〜テン〜〜〜ちゃ〜〜〜ん。 ひ、さ〜〜しぶりぃっ」
「いっ!?」
「しまった――止まり過ぎたかっ!?」
二人に取って嫌な嫌な嫌〜な、存在――巨体かつ、緑色の肥満体な怪人が追い付いてきた。
見れば、灰色の怪人も何時の間にかその数を増やし、緑色の怪人の前方で其々の得物を構えている。
まさしく――絶体絶命だった。 しかし、これまで大笑いをやめなかった、カラステングが突然、深いため息を吐いた。
「木偶……少しは面白い奴らだが、あまり手間を掛けさせるな。」
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