97: ◆2DegdJBwqI[saga]
2014/08/22(金) 14:53:12.53 ID:f9f35fI7o
鹿目まどかは唇を噛んだ。
涙を流しながら、視線をこちらの目にぶつけてくる彼女。
強い目だと思った。
「お願い、貴女にしかできないことなの。この世界が、末永く続いてゆくには、貴女が記憶と力を取り戻すことが必要なの。
だから速く行って。そのために、私たちはこうして身を粉にして戦ってるんだから」
彼女が涙をぬぐって先へと駆けていくまで、それほど時間はかからなかった。
周囲に誰もいなくなって、私はまた目蓋を閉じる。
魔法少女姿の彼女がこの場に現れたということは、計画は今のところ成功しているということだ。
まだ私にはやれることがあるはず。しかし、この身体じゃ流石にどうにもならない。治るのを待つ間、少し休もう。
もっともいくら引き継がれた魔力がこの身体に満ちているからといって、この怪我は治しきれないかもしれない。
それならそれでいい。ソウルジェムが濁りきって円環に回収されるだけ。
割れて消滅していった他の「私」たちと比べれば百倍良い境遇だ。
目を閉じてそんなことを考えていると、段々眠気が激しくなっていく。
薄れていく意識の底で、一瞬、裾の広い白い神々しいドレスが見えた気がした。
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