8: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/07/29(火) 19:58:42.72 ID:YJpQUpwa0
そこまで考えてふと思う。
結局は人の価値も金か、と思うと可笑しいな。
「ただし条件つきだ」
俺が黙っているのを話を聞く気があると受け取ったのか、忍野は続けた。
「ひとつ、僕や臥煙先輩からの援助は一切ないこと。ひとつ、宿主を傷付けないこと。ひとつ、怪異を持ち帰ること。どうだい、受けるかい?」
「……詳しい話を聞かせろ」
正直言って気は進まんが、一千万はでかい。
向こう半年は余裕で遊んでいられるのは何物にも代え難い。
断る事も出来ることだし、ここは話だけでも聞いてやろう。
頭の中で必要な情報を整理する。
話を長引かせて忍野ののらりくらりとしたペースに巻き込まれるのは御免だ。簡潔に済ませるに限る。
整髪料で整えた髪を再度かき上げる。
「仕事の内容は」
「人助け、かな。怪異によって困っている人間がいる」
「具体的な目的は」
「宿主からの怪異の回収」
「状況は」
「宿主が怪異と理解した上でその力を利用している。このままでは均衡が崩れる」
「何故お前や影縫ではなく俺なんだ」
「僕や影縫じゃ無理だからね」
「手段と方法は」
「問わないよ。好きにやってくれればいい」
「条件を破った場合は」
「勿論、一つでも破ったら話はご破算だ」
「高額の報酬の意図は」
「持ち帰る条件の怪異にそれだけの価値がある」
「その怪異の名は」
「虚節」
「…………!」
忍野の発した言葉に思わず言葉が止まる。
表情は崩れていない筈だ。
33Res/44.53 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。