2: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/01(金) 20:40:24.23 ID:/8LqzrKnO
「おはよう、トゥルーデ」
枕元に置いてある写真立てには、トゥルーデと私が写った写真が納められている。私がカールスラント空軍に入隊したころの写真で、トゥルーデが撮影を許した数少ない一枚でもあった。
時刻は午前6時前。
私の一日は、トゥルーデの遺影に挨拶をして始まる。
3: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/01(金) 20:41:01.30 ID:/8LqzrKnO
食堂に降りたら携帯用コンロに火を付けて、シチュー鍋で水を沸かす。その間に顔を洗って歯を磨いて、髪の毛を軽く整える。
終わる頃にはちょうどお湯が沸いてるから、インスタントコーヒーの粉と砂糖を入れて溶かす。
乾パン、缶詰のポークビーンズ、ドライフルーツと甘ったるいコーヒーが今朝の朝食だ。
私がこんなにテキパキ支度できるなんて、トゥルーデがいるときは思いもしなかったよ。
4: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/01(金) 20:43:26.96 ID:/8LqzrKnO
朝食の後は、通信室で定期放送をする。
無線、有線、モールス信号、空砲、あらゆる通信手段を使って生存者へ呼び掛ける。
街のスピーカーはほとんど壊れていたけど、瓦礫の中から使えそうなものを探して、シャーリーの遺したノートを見ながら配線したらどうにか動いた。
サンキューシャーリー。
5: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/01(金) 20:45:16.21 ID:/8LqzrKnO
放送が終わると、いよいよパトロールの時間。
バックパックに食べ物と水、薬や包帯、折り畳みスコップやらロープなんかを詰め込んで、完全防備で行く。もちろん私の食料調達も兼ねているので、スペースは余分に空けておく。
最初の頃はMG131を持ち出したりしたけど、ネウロイの姿が見えないことが分かってからは拳銃だけ携帯してる。あとはコンバットナイフ。これで十分だ。
6: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/01(金) 20:46:32.02 ID:/8LqzrKnO
「おーい。誰かいないかぁ」
めちゃくちゃに破壊されたローマには、私の声だけが響く。
視界の端から端まで崩壊した建物で埋め尽くされていて、ネズミ一匹見当たらない。
私が黙ると、聞こえるのはざくざくと地面を踏み越える自分の足音だけだ。
7: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/01(金) 20:47:52.29 ID:/8LqzrKnO
核が落ちてくる6日前、リーネはネウロイとの戦いで命を落とした。
あんなに臆病だったリーネが、一歩も退かずに最期までネウロイを倒そうとしていた。
リーネの遺体はブリタニアに帰れただろうか。
8: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/01(金) 20:49:14.89 ID:/8LqzrKnO
核が落ちてくる3日前、シャーリーが独房に入れられた。
夜になるとルッキーニが怯えてうるさいと、ついひっぱたいてしまったらしい。
次の日には出てきてルッキーニに謝ってたけど、もはやルッキーニの心はまともとは言えない状態だった。
9: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/01(金) 20:50:57.74 ID:/8LqzrKnO
核が落ちてきた日の朝方。
トゥルーデはなんだか忙しそうに走り回っていた。尋ねてみると、地下の独房に食料と水を運んでいるらしい。どうしてそんなことをするのと聞いたら、トゥルーデいわく地下は地上よりも核攻撃のダメージを防げるそうだ。
どうやらトゥルーデが一人で思い付いた計画のようで、回りに手伝おうとするやつはいない。しょーがないから手伝ってあげるよと言ったら、お前に任せていたら戦争が終わってしまう、おとなしく地下で待ってろと言われた。
もちろん人の言うことをおとなしく聞く私じゃないので、普通にトゥルーデを手伝った。
10: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/01(金) 20:52:51.75 ID:/8LqzrKnO
「トゥルーデはこの戦争、勝てると思う?」
「ん……」
トゥルーデは私の質問に少し言いよどんでから口を開いた。
11: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/01(金) 20:55:40.07 ID:/8LqzrKnO
今日はここまでです。
今更になりますが多分鬱展開なので注意して下さい。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/08/01(金) 20:58:21.11 ID:6KCG63ts0
乙
ストパンの鬱は心惹かれるものがある
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