過去ログ - ハルトマン「渚にて」
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42: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/19(火) 22:35:12.14 ID:4LyFGn8UO
原型をとどめないほど粉々に破壊された基地。
背後に広がる山々は緑の影も残さず、真っ黒に焼き尽くされていた。
自動車や戦闘機は軒並み横転し、時々大きな音を立てて火を吹く。
太陽が落ちてきたみたいにどこもかしこも燃え上がり、炎で埋め尽くされたロマーニャの街。
どこからか、『何か』が焼ける臭いが漂ってくる。


そして、そして――

「みずを、だれか、だれか」

ごうごうと猛る炎の中、消えそうな声で水を求めるもの。

「空がいきなり光ったと思ったら、急に真っ暗になっちまった……一体どうなってんだ? おおい、誰かいないのか」

『まるでこの景色が見えていないかのように』、手探りで慎重に歩を進めるもの。

「う う う」

指先から『布のようなもの』を垂れ下げ腕を突きだし、声にならない呻き声を上げながらずりずりとさまようもの。

全身にガラスの小片が突き刺さり、倒れ付したままピクリとも動かないもの。

身を丸めながら炎に焼かれ、炭のように丸焦げになったもの。

かろうじて2本の足で動けるものは、水を求めるあまり次々と海に飛び込んでいる。
ゆらゆらと浮かぶ遺体は既に海面を隠すほどになり、その数は時間と共に数を増していった。


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