43: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/19(火) 22:36:19.94 ID:4LyFGn8UO
私は天国や神様を信じていないけど、もし地獄があるとしても、きっとここよりはマシなところだろう。
目に映る光景のなかに、私が見知ったものは一つとしてなかった。
じゃり、と背後で音がした。びくっと体をすくませて振り替えると、そこにいたのは一人の兵士。
彼も指先から『布』を垂れ下げていて、全身は火傷のせいか赤く染まっている。
44: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/19(火) 22:38:32.32 ID:4LyFGn8UO
「や、やめ……!」
強い嫌悪感を覚えた私は、目の前に伸ばされた手を払いのけた。手のひらに兵士の血液と脂肪がぬるりとまとわりつく。
そんなに力を入れたつもりはなかったけど、バランスを崩された兵士はそのまま前のめりに転んでしまった。
45: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/19(火) 22:39:08.35 ID:4LyFGn8UO
今回はここまでです
もしグロかったらすみません
46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/19(火) 23:57:46.09 ID:svLtjKIPO
……乙。
47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/20(水) 00:10:43.67 ID:ZZqOk2ov0
乙
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/24(日) 02:06:08.58 ID:kmqA++I3o
初めてはだしのゲンを読んだ時の気持ちを思い出した
49: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/24(日) 23:40:08.40 ID:MMqPBa52O
気が付くと、目の間にロマーニャの国立病院があった。建物の半分は吹き飛んでいてダメかと思ったけど、中の方にちらちら人影が見えるから、一応機能してるのかもしれない。
後ろを振り返ると、遠くに私たちの基地の残骸が見える。
戻ろうか? いや、さっきトゥルーデやミーナや宮藤は見当たらなかった。多分もうあそこにはいないんだ。大方、市民の救助かなにかに出動したんだろう。きっと、そうだ。
だったら、もうあそこに行く理由はない。
50: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/24(日) 23:40:55.71 ID:MMqPBa52O
ロビーは異様な雰囲気で包まれていた。さっき私が見たような人たちが、それでも救いを求めて死に物狂いで集まってきたんだろう。
床に点々と赤い印が付いているが、それが何なのかは深く考えないようにした。
どうやら200人近い患者の数に対して医者の数が圧倒的に不足しているようで、数十人の看護師がひっきりなしに右往左往している。
でも、ミーナや宮藤の姿は無い。
51: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/24(日) 23:41:51.81 ID:MMqPBa52O
どうして忘れてたんだろう。こうなったときのために、トゥルーデがせっせと準備してたじゃんか。
あの営倉は地下にあるから、少なくとも爆風の影響は受けてないはずだ。トゥルーデの力なら、多少の瓦礫は退けられるだろう。
ちょっとの間ならあそこで生活出来るし、事態が落ち着いたら出てくればいい。
大丈夫、みんな無事だよ。
52: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/24(日) 23:43:42.41 ID:MMqPBa52O
……さっきまでの人影はどこへ消えたのか、基地周辺にはもう動くものは何も無かった。
そこここに倒れ伏している遺体を見ないように、記憶をたぐって営倉への階段を探す。
この辺が宿舎で……この辺が食堂? じゃあ……
53: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/24(日) 23:45:21.82 ID:MMqPBa52O
営倉の奥から返ってきた声は、私が求め続けたトゥルーデその人のものだった。姿は暗闇にかき消されて見えないが、この声は間違いない。
手探りで道を確保して、トゥルーデの近くにたどり着いた。
すぐそばに、トゥルーデの息遣いを感じる。
さすがの大尉殿も今回ばかりは冷静ではいられなかったみたいで、はあはあと肩で呼吸を繰り返していた。
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